畑に寝そべる。
立っていると肌に冷たい晩秋の風が、そよ風に変わった。
ほお、地面すれすれの植物さんたちは、こんなふうに風を感じているのか。
青く澄んだ空に、カラカラに乾いた大きな葛の葉がヒラヒラ3枚踊っていた。
今度はうつぶせになってみる。
雑草と化したパクチーが顔全部を覆った。
独特の匂いを嗅ぎながら、
しばしアジアンな瞑想(迷走か?)の世界へ。
畑に寝そべるのにもあきて、起き上がって缶コーヒーを飲んでいると、畑に猫がいるのに気がついた。
何やら口をモゴモゴさせながら、こっちに向かって歩いてくる。
やまんばは、じっと動かず様子を見る。
猫はふと顔をあげて、こちらのにおいを嗅いでいる。
「ん?これは人間のにおいだ。。。あん?かいだことのないにおいもするぞ。。。」
じーっとこちらを見る猫。
「人間のカタチをしているが、うごかんぞ」
警戒しながらもゆっくりこっちに歩いてくる。
数歩歩いては、立ち止まりにおいをかぐ。また歩いてはにおいを嗅ぐ。
そしてついに目が合った。
人間のカタチをした物体はぴくりとも動かない。
猫は身体の向きをゆっくり45度斜め前方に変え、フェンスの方に歩く。またしても時々立ち止まってこっちを見る。フェンスの向こう側に抜けても、まだこちらの様子を伺う。
真正面から、フェンス越しに互いの目が合った。じっと動かない物体ふたつ。緊張が続く。猫はゆっくりと歩きはじめた。
急に人間の鼻がもぞもぞし、思わずくしゃみをする。
「ヘーーーックション!」
その瞬間、猫は一気にアクセルをふんだ。
びゅう~~ん!
「ものすごいはやさだなあ。。。」
人間は缶コーヒーを飲みながらつぶやいた。