寝る前に、窓を開けて裸足で縁側に座る。
冷たい大地と足の裏がかかわり合って、次第に暖かくなってくる。
夜空を見上げる。雲の切れ間からお椀型の月がのぞく。
目がしだいに慣れて来て、目の前の漆黒の闇がかすかな樹々の姿を映し出す。
私は深呼吸する。そっと目を閉じる。感覚の中に入る。
今どんな感じ?
ほおに当たるかすかな風が冷たい。
足の裏で感じる大地との感覚が、ちりちりする。
と、同時に、手の中もちりちりとしはじめる。
石の上に座ったお尻から背中にかけて、ジーンと冷たい。
でも膝かけの中の足はあったかい。
感情は?
わからない。
不安? いんや。
怒りは? ない。
さびしさは? ないなあ。
かなしみは? ちっとも。
では、しあわせ? う。。。わからん。
じゃあ、不幸せなの? それはない。
じゃあ、今の感情は?
わかんない。。。
何も感じないの?
なにも。。。
ただ、、、しずかなだあ。。。
その後ふとんに入っても、その感覚のままでいる。
この感情はなんだろう。
何も感情がないってことは、幸せなのだろうか。それとも不幸せなのだろうか。
そのどちらでもないのだろうか。
この感情は、何も名付けられない感情は、いったいなんだろうか。
しばらくは布団の中でその感覚のままいた。
そしてゆっくりと無意識に落ちて行った。
絵:「虎の尾」/和紙、水彩、オイルパステル