ウチの町内会は、80世帯ぐらいしかない小さな村。
やまんばは、町内会の夏祭りで、20年ぶりに盆踊りを復活させた実行委員のひとりなので、曲の進行やだんどりで、いつもばたばたする。
なぜなら、音響設備が、いつもどっかから借りてきたカラオケ設備。
懇親会で飲んで酔っぱらったオヤジどもが、機械の扱い方がわからず、それ、カセットテープが入らないだの、CDがうまくならないだのと悪戦苦闘。
懇親会で飲んで酔っぱらったオヤジどもが、機械の扱い方がわからず、それ、カセットテープが入らないだの、CDがうまくならないだのと悪戦苦闘。
そんなこんなで、今年も案の定、盆踊りのCD流せば、マイクが入らん、マイクを付ければ、CDが流せない。
マイクに差し替えているあいだに、酔っぱらいがハウリングをおこして、会場中不協和音にさらされる(笑)。
夏祭りの司会進行役らしき人もいない。
盆踊りの曲をスイッチオンしてくれるお人も、オフしてくれるお人もいない。
やまんばは55歳であるが、他の大御所踊子隊はみな70過ぎなので、下っ端のわたしがなれない浴衣姿でひとり会場を走り回る。
ぐだぐだはそれだけではない。
やまんばが間に入れる曲の説明も、曲名も、途中でわからなくなり、
「次は、炭坑節と、東京音頭と、えーと。。。。、なんだっけ?
。。では、そんなかんじで、はじめます」
と、いってしまう始末。
しかも、ウチのダンナが録音してくれた、きれいな音のCDは、いつのまにか消えていて、大御所のところで録音された、とてつもなくひどい音のCDにすり替えられていた。
ひどい音の盆踊り、ひどいアナウンス、ハウリング。。。。
ひどいことづくめの盆踊り。
でもいつのまにか、たくさんの人が来てくれていた。
小さな子供たちは、かわいい浴衣姿で、見よう見まねで踊っていた。老人たちも艶やかな浴衣姿で踊る。大人も子供も一緒になって、ひとつの大きな輪が、たのしんでいた。
自分の中の美意識をおもいしらされる。
きれいな音でなければいけない、
アナウンスはちゃんとしなければいけない、
進行はちゃんとしなければいけない。。。
そんな「こうであらねばならない」が、ことごとく潰されていく。
それでもなぜか、たのしいのだ。
あらねばならないものなんて、なにもないのかもしれない。
きのうはもう、すでにここにはない。
ただ、胸のあたりに、ほっこりした何かの残像がのこっている。。。