2025年5月30日金曜日

私は森

「森に住むもの」和紙、水彩


絵の制作がひと段落すると散歩に出かけた。


アスファルトの道から一歩森の遊歩道に入ると、

突然空気が変わる。


それまで私の心は人間界にいた。

「薄着してきてしまった。寒い。

風邪引いたらどうしよう。。。」


森に一歩入る。

ひんやりとした空気に包まれる。

「あ~。気持ちいい。。。」


理屈で考えたらさらに温度は下がっているのに、

そこに恐れはなかった。

自分はカラダだという感覚が消えている。


アスファルトの道の上にいた私は「私はカラダ」だった。

森に入ると、私は森になった。


森全体が喜びに満ちている。

そこにたくさんの生き物たちがいるだろう、

その全てが一体になって私に笑いかける。

命が湧き上がってくる。


さっきまで人間界の由無し事に心が奪われていたのに、

もうその面影はない。

何か形のないものとともにいる。

穏やかでウキウキとふわふわと歩く。


その日の朝も同じような感覚で起きた。

社会が遠くにあった。

世界がオブラートに包まれて、輪郭がはっきりしない。

音も耳栓をしながら聞こえている感じ。

その日に何をする予定なのかわからない。

でも体は動いていた。


小さい頃の私を思い出した。

全てがもわんもわんとしていて、輪郭がはっきりしない。


親や先生に怒られて、

必死でこのカラダに入らなきゃ!とトライしていたあの頃。

そしてある日ピタッと「このカラダ」に入ったのだ。

それから世界ははっきりと輪郭を帯びた。

社会が私に迫ってきた。


その「カラダ」に入る前のあの感覚は、

今のこの感覚だったんじゃなかったろうか。



今、森の中にいて、社会は遠くにあった。

私と森は一体で、、、

私は森で、

森は私で、

平安と喜びがある。



人の声が聞こえてきた。

近所の犬を散歩させているご婦人と、

山歩きの男性が話をしている。



そこで私は人間に戻った。








和紙で制作した作品のオンラインショップができました

ペーパーバックの表紙を制作した原画のオンラインショップです



2025年5月19日月曜日

この世界をリアルにするかしないか

 

複写したものをプリントして原画の色合わせ

10月の展覧会に間に合わせようと、

今作品集もどきを作っている。

もどきっていうのは完璧な画集ではないからだ。


一枚一枚額から外して複写する。

画集作る人の大変さをあらためて思う。

あの人も、この人も大変だったんだろうなあ~。


アナログな作品をデジタルに置き換えられるからか、

全体的にギトっとしてしまい、なかなか原画の和紙の優しい雰囲気にならない。

それでもなんとか近づけようと素人なりに奮闘する日々だ。




昨日「どの幻想が一番いい幻想?」というブログを書いたが、

まさに「どの幻想の色が、一番幻想の原画に近い色?」ってやっている(笑)。


どーせ幻想なんだから、なんでもいいんちゃう?

という考えはなんかちゃう。

それは無理がある。


キーワードは「深刻さ」なんだろうな。


う。。。色が違う。。。

あー、またやり直しかー。。。


というのは、なんか暗いというか、重いというか、ジトーッとして、

無理やりやり直しをする。


これはことを深刻に捉えている。

幻想を実在化している。



でも同じやり直しをするのでも、


あ、色が違う。

そっか、じゃあ、も一回トライ。


トライして、トライして、トライ。


んでほぼ同じ色にできたら、ラッキー!


この二つの感じ方の違い、わかる?




これ、内田宇宙人に教わったんだ。

「つくしさん、何度でもトライするんですよ。

それでできなかったらできないでいーじゃないですかー」

この軽さ(笑)。


アメリカの銀行に入れてあったお金が、

こっちに送金されるかしないかで半年振り回されたことがあった。

貧乏人の私としてはなんとか送金されるように頑張ってきたが、なしのつぶて。

完全に泣きが入って内田くんにグチる。


「入ったらラッキー、入らなかったら、それでしゃーない」

「えー。そんなもん?」

「そんなもんです」

「。。。」

そうは言いながら、彼は彼のできる範囲で徹底的に手伝ってくれた。


やり直し、失敗。

そんなことが私には深刻になる。

でも彼の中では、やり直しすればいいじゃないですかー。

失敗したっていいじゃないですかー。だ。


彼にとっては失敗してもやり直ししても大した問題じゃない。

なんとなく楽しそうなのだ。何でもかんでもなんか知らんが楽しそうなのだ。

自分の音痴を楽しそうに語るし。


彼の中に深刻さが見えない。

「倒れるまでやるんですよ」

って言ったら、本当に倒れるまでやってるし。


別に倒れるまでやらなくてもいいんだけど、

その彼のスタンスが私にいろんなヒントをくれるんだ。

彼は私に教えているわけじゃない。

私が勝手に彼のその行為から教えられている。




深刻になるって、この世界が重要で重くのしかかる。

この世界をリアルに存在させる。

幻想が幻想でなくなる。重くて硬いリアルなものに感じさせる。


でもあの内田くんの軽さ明るさは、幻想をリアルにさせてこない。

それでも本人いわく徹底的に論理的に考えるんだそう。

私にそれは無理だとしても、あの軽さや楽しさは真似できる。


それはコースの、恐れを選ぶか、愛を選ぶか。

その選択に似ている。

深刻になるか、楽しくいくか。


多分、深刻になるって、どこか拒否ってるんだ。

いやだな~と思うから、深刻になるんだ。

楽しくいくって、受け入れているんだと思う。


失敗も受け入れ、やり直しも受け入れる。


するとこの世界は軽くなって見えてくる。

重く硬い存在ではなくなる。


それはこの世界や自分の行為を

愛で見るってことなんだろうな。


愛って深いなぁ。



また長くなっちまっただ。










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2025年5月18日日曜日

どの幻想が、一番いい幻想?

麦汁プッシュ〜っ!
デーツとクルミ、タケノコとスナップエンドウ

 

昨日友達とドトールで話した。


「私ねえ、捨てられないのよ。

何もかも捨てて、すっきりしたいのに、

捨てた後で『あ~、あれ捨てなきゃよかった!』

って後悔することが多くてさあ。

高いお鍋のセットとかあるでしょ?

捨てるのもったいなくて、高い棚に入れたまま。

いつも使っているお鍋なんて、

千円ぐらいの、どーでもいいいつでも捨てていいお鍋ばっか!

なんかすっきりしたいのよね。

何もないキッチン。

でもそうなるために色々考えてたら、

もう頭の中疲れ果てちゃって。

何もしないで1日が終わる。。。」


「ワハハわかる。私も~~~。

で、何もないキッチンになったらどうするの?」


「またモノで埋める!」


捨てたい、捨てられない、

憧れのすっきりキッチン、

でもたとえそのキッチンが出来上がったとしても

その空間にまたモノが溢れ、

捨てたい、捨てられない、の連鎖が続く(笑)


これさー。最近の私にも言える。

踊りすぎで膝が痛い。

整形外科で水を抜き、ヒアルロン酸を入れる。

でも水を抜くとそれがクセになり、また水が溜まり、

ヒアルロン酸を入れる、のパターンが続くらしい。


ジムで筋肉を鍛える、ストレッチで伸ばす、

でも先生が言うには、

ストレッチしすぎてはいけない、

鍛えすぎても炎症を起こす。。。


適度な運動、

適度なストレッチ、

適度なダンス、

適度な体重、、、、。

適度ってどこ?


近所のオヤジが言う。

「畑やっていると膝と腰がやられて、整形外科通うけど、

治らないんだよね~」


畑は体にいいんちゃうんか。

ジムは体にいいんちゃうんか。

ダンスは体にいいんちゃうんか!


全然答えになってない!



キッチンのぐるぐる、

膝のぐるぐる、

人間関係のぐるぐる、

未来の不安へのぐるぐる、



『葛藤の中には答えも解決もあり得ない。

なぜなら、葛藤の目的は解決を不可能にすることであり、

どの答えをも不明瞭にすることだからである』

               テキスト27章Ⅳ「静かな答え」1-2


奇跡のコースのテキストを開いたら、

いきなりこの言葉に行き当たって、ひえ~だ。

まさに葛藤の中でぐるぐるだ。


葛藤の目的は、解決を不可能にすることだとお!?

そーいえば、確かに。まさにそれだ。


適度ってわからない。

捨てるってどこまでなのかわからない。

何もかんもが、モヤ~ッとしてて曖昧だ。


整形外科で待っている人々の顔もくらーい。

みんな答えを求めてあっちの病院こっちの病院、

あっちのダンス教室、こっちのジムに行く。



「世界は一つの質問をするだけである。

それは次のようなものである。

『これらの幻想の中でいったいどれが真実なのだろう。

どの幻想が平安を確立し、喜びを提供するのだろうか。

そしてどの幻想なら、この世界を作り上げている

苦痛のすべてからの脱出をもたらせるのだろうか』

               テキスト27章Ⅳ「静かな答え」4-4


おっしゃる通りでございます。


どの幻想が、一番いい幻想?


幻想の中にいいも悪いもない。幻想だから(笑)



頭の中のグチャグチャとぐるぐるを

聖霊さん、

ぜーんぶ持っていってくださーい!










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