久しぶりに友達から電話があった。
互いの近況報告をしてしばらく話した後、電話を切ろうとしたら、
「待って待って。実は別の用事があって電話したんよ」という。
なんと彼女が選挙の話を熱く語るではないか。
「らしくないねえ~」とからかった。
だけど彼女は真剣そのもの。
「わかった。考えとく」と言って電話を切った。
その後彼女が薦める人の動画を見る。
はつらつと今の政治の悪い部分を変えていこうと、熱く語っていた。
なかなかいい話。
しかしその話の大部分は、この国の政治は今最悪の状態だ。今こそ、この最悪の政治を自分たちの手で変えていこうというものだった。
私は彼の動画を見ているうちにだんだん怖くなってきた。
この国は今大変なことになっている。このまま放っておいたら、この国の国民は悲劇を被る。
それをあなた方は放っておいても良いのですかと。
まるで私が放っておくから、この国は崩壊すると言わんばかりなのだった。
急に一票入れる気が失せた。
これは私の恐れを彼によって解消してもらうようなものではないか。
コースを学んでいる私が、恐れによってその一票を入れるということは自我を選んでいる。
ということはその恐れを実在させることになる。
「やーめたっ!」
その後、投票日が近付くにつれて、私の心に変化が起こった。
なぜか彼の選挙がお祭り騒ぎのように見えてきたのだ。
それまでは彼は私に脅しをかけてきたように見えていた。だが時間が経つにつれ、その部分よりも彼の楽しさの方が見え始めたのだ。彼は喜びの中でこれをやっているように見えてきた。そのわっしょいわっしょい感が、私を楽しくさせていた。
「あ!愉快だ!」
そう思った時、私は彼に投票することに決めた。
その「愉快を選ぶ」という考え方。
今までなかった。
そんな考えが自分にあるとも知らなかった。
行動はいつも「そうせねばならない」で動いていた。
それは義務感。だからだんだんやることが辛くなっていたんだ。
その後、私は愉快を選ぶようになっていった。
つづく。
絵:「健康と生活」表紙イラスト/ノルディックウォーク
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