2015年7月12日日曜日

おかしーでしょ。



Aさんから聞いた話。
Aさんはある会社に勤めている。

知り合った頃は、外資系の会社に勤め、ド派手なスポーツカーを乗り回していた。色々あって、今は同じ業種の日本の昔ながらの会社に入社。今日久しぶりにお会いした。昔のイケイケドンドンが、なりをひそめていて、穏やかなお顔になっている。

その会社が業界でトップなのだという。
それがふしぎだと彼は言う。
「何の問題定義もしないんですよ。今月も売り上げ成績よかったね。パチパチパチって。おかしいでしょ」と。

今までの会社は、どこにどんなリスクや問題があるかさぐって、それを分析して、リサーチして、マーケティングして、そしてとことん戦略を練ってきたのだという。それがその会社は皆無。

「部長も新入社員も、同じことしか言わないんです。売り上げ上がって良かったね。また今月もがんばろう~って。ふつう部長はもっと専門的なこと言うでしょ。それが新入社員となんら変わらない」
「なのに、業界トップ!」
と、やまんば。
「そうなんです!」

最近一気に売り上げを伸ばしたものがあると言う。それを彼は、
「ここで一気にすべて売りつくしましょう!といったんです。ところが。。」
「ところが。。?」
「いいよいいよ。10%売り上げればいいから。って言うんです!信じられないでしょう!」
彼は100%をのぞんだにもかかわらず、会社側は10%にとどめておくように、といったのだ。

それで業界トップ。
いったいこれはどういうことだろう?

聞けば、その業界の重役たちが集まる会議にも出ないのだと言う。
「他の会社さんにおまかせすればいいから」といって。

その会社のあり方は、数値、業績、競争、目に見えて明らかなもの、そういうものを追いかけ続けて来た私たちに、清涼飲料水のような爽やかさを投げかけてくれる。

あきらかに儲かる方法をあえて10%にとどめておく売り上げ目標も、この業界で生きる智恵のようなものをかいまみせてくれる。
それはその道で長年培って来た叡智なのかもしれない。

成績が成績が、という世界で生きて来た彼。そこでは弱肉強食の世界が広がっていて、トップもつねに変わっていたと言う。
なんという両極の世界を経験しているのだろう。彼の経験はすごく貴重だと思うし、そういう話を聞かせてもらうこともすごいことだとおもう。

彼の意図するところとはま反対なのに、男前がますます男前になっていってるのを嬉しくながめていた。



0 件のコメント: