2008年10月31日金曜日

ニッポンってすごい!





ニューヨークに住んで1年め。
「ニッポンってすごいっ!」って気がついた。
経済大国だの技術大国だの、そんなこむずかしいことはようわからん。
だけど単純に、スーパーマーケットに行くだけで、全然ニッポンの方がすごいっておもう。種類も豊富で、そして美しいのだ。

日本の野菜売り場にいけば、みずみずしい野菜がていねいにビニール袋に収められている。(英会話のおばちゃんが、生まれてはじめて日本のスーパー「ヤオハン」に行き、野菜が一つ一つビニールに入っていてとってもきれいだった!とコーフンしていた)アメリカはビニールには入らない。そのままだから乾燥してヨレヨレ。だいたい野菜を買う人が少ない。ほとんどの人は洗う手間もない四角い箱に入った料理済み冷凍野菜を買う。そんなもんだから、野菜売り場の野菜はいつのかわからない。キュウリにいたっては、てかてかのワックスがかかっていて、年中『放置』されたままだ。

山のように積み上げられたフルーツは、傷んだものもごちゃ混ぜだから「自分で新鮮なのもを選ぶ」という自己責任。

肉売り場はものすごい巨大なスペースを使うが、サカナ売り場は、ネコの額くらい。ネコがかっさらっていったらなくなってしまうほど。
魚の宝庫、高知生まれの私にとって、この現実は屈辱的でもあった。

日本のお菓子売り場は種類が豊富。棚に置かれた一列一列に違うお菓子が並ぶ。そんなのあたりまえだとおもっているでしょ、そこのあなた。
アメリカはすごいぞ。お菓子売り場は巨大で、さぞかしたくさんの種類のお菓子があると思いきや、オレオクッキーやナビスコリッツなど、同じものがヨコにずら〜ッと並んでいるだけ。
「そんなにいっぱい置いてどーする!」と、突っ込みたくなる。

私が仕事で、お菓子のパッケージのデザインをしていたころ、毎週毎週お菓子の新製品が開発されていた。日本の商品は、毎日凄まじく新発売されているのだ。
これがアメリカはといえば、M&M's のいろんな色のチョコレートに、ピンク色ができました!というだけで、おおさわぎだ。
たぶん40年前のお菓子の種類と比べても、ほとんど変わってないんじゃないか?と勘ぐってしまう。超保守である。

賞味期限ももちろん自己責任だ。うっかりしていると、腐って糸引いた商品を買ってしまう。私なんか、賞味期限を確認したものでさえ、カビだらけのヨーグルトをつかまされた。
レジのおねーちゃんは、ガムを噛みながら、あごで私をあしらった。
「べつの、とってきな」


昨今、食品業界でいろんな問題が起こっている。
でも発展途上国アメリカ(?)から戻って来た私にとって「そんなこと十分あり得るだろうな」とおもう。大量にモノを作って大量に消費する。手が行き届かなかったり、ごまかしたり、バンバン保存料を使ったりするのは、私がその立場だったらやってしまいかねない。ましてや今の時代、何かあったらすぐ訴えられるんだもの。

悪いとこばっかり見つけてはおおさわぎするメディア。視聴者もそれにつられて、おおさわぎをしたり、怒ったり、過剰に心配をする。

でもよく他のお国様を見てみたら、比べちゃ悪いのかもしれないが、ダントツにニッポンは良心的。アメリカのマックバーガーは、何日も腐らないというが、きっと日本のマックバーガーは、腐ることが出来るはずだ(笑)。

ちなみにアメリカで5年間住めば、人の一生のうちに摂取する保存料の、半分を摂取してしまうという。そこで7年半住んでしまった私の体は、もう腐らないのかもしれない。
アメリカは保存料大国なのだ。

グローバリゼーションというカッコイイ言葉があるけど、何も世界にみならえって言う意味だけじゃなくて、世界の現状を公平に見ろっていう意味なんじゃないかなあ。

悪いとこばっかり探したら、きりがない。
「ニッポンっていいよ」と私がいうと、
「そんなことないよ。あそこが悪いし、ここも悪い...」と、友達はいう。
そんな言葉をくり返して、その人にどんな得なことがあるんだろう。
つまるところは「ああ、こんな世の中なんか捨てちまえ」という心になるぐらいがオチじゃないか?
世界はもっと悲惨な状態でも、明るく生きる人々がいる。それはすばらしい知恵なんじゃないだろうか。

その知恵の宝庫が、この国にはいっぱい埋もれている。

絵:絵本『The Drums of Noto Hanto』より

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