短大の頃、高知の母が私にゆかたを縫ってくれた。
ずっと押入れにしまいこまれていたんだが、
町会で盆踊りを踊ることになってそれがあったことを思い出し着ることになる。
ところが中年太り(いや老年太り)の体型がそのゆかたにちっとも治らない(笑)。
それでも無理やり着て何年か過ごした。
だが踊っているとだんだん前がはだけてきて気が気じゃない。
着物ってよくしたもんで、反物でできているので幅広くお直しすることができる。
いつも行くスポーツクラブがあるモールの中に呉服屋さんがあったので、
そこでお直しをお願いする。
京都から出張でくる先生に見てもらうと、
昔のしっかりしたいい反物ですねと褒められる。
そりゃそーだろーもう50年は経つ昔の反物だ。
しかし丈が短い。そこは知恵があって、おはしょりで隠れるように別の生地で賄うことができた。
私はそこにインドの藍染の生地を選んだ。
着ると見えないけどちょっとした遊び心。
予算よりはるかにオーバーしたけど、母の思い出のゆかた。お願いした。
さて昨日は町内会の夏祭り。
初めてお直しされたゆかたに袖を通す。
新しいゆかたはゆったりとたっぷりと、
私の大きな体を包み込んでくれた。
お祭りが始まる時間は雷雨の予報。
北の山の上には真っ黒い雲が静かにやってきていた。
「あっちの山の上にこの雲が来ると絶対降るよ。オラの長年の経験だ」
西の空は雲がまだ明るかったが、
生まれも育ちもこの地で生きているオヤジの言葉。きっと来る。
「じゃあ、やれるとこまでやっちゃいましょう!」
と始まった。
演目は「炭坑節」「東京音頭」「高尾山音頭」「太陽おどり」。
それぞれ2回づつ繰り返す。
小さな手作りの子供神輿の周りを円になって踊る。
一人、また一人と、参加者が増えていく。
見よう見まねで、初めてで。
それでも繰り返すうちに様になっていくのが日本の盆踊り。
愛の輪っかが広がっていた。
もう一曲「相馬盆唄」をやる予定だったが、
八王子の代表曲「太陽おどり」で終わりにした。
途端に雨。
滝のような雨の中、
カラオケ大会も返上して、
2回目の盆踊りも中止にして、
テントの中でぎゅうぎゅうになってビンゴゲームをしてお祭りは終了。
途中でっかい雷が近くに落ちる。
うお〜っ!ってみんなと叫ぶのが楽しい。
ちょっと雨が上がった頃合いを見て一人家路につく。
街灯もほとんどない町会の一本道。
カランコロンと下駄の音をさせながら、遠くに雷の光を見る。
短い夏が終わる予感がした。




