2008年10月22日水曜日
ニューヨークのゴミ
『ニューヨークのゴミ』
ニューヨークの街はきたない。どこもかしこもゴミだらけ。
いきなりこんな現実的なお話をしてしまって、もうしわけない。もしお時間を許すなら、私のニューヨーク生活7年半の『現実』を、ちょっとのぞいてみてください。
1:『地下鉄のゴミ』
さてニューヨークに観光客としてやって来ると、エンパイヤステイトビルや自由の女神に眼を奪われていそがしいので、ゴミを見るどころの騒ぎじゃないかもしれないけれども、ちょっとひと呼吸ついてベンチにでも座り、落ちついてまわりを見回してみれば、客観的にこの街がみえてくる。
ニューヨークは、昔よりは治安がよくなり、街もずいぶんきれいになったという。なったというが『先進国』ニッポンからやってきた私には、お世辞にもきれいとは言えない。マシになったというだけかな?
57th Columbus Circleの地下鉄ホームのレールには、汚水が満ち満ち、ネズミが走り回る。新聞、紙くず、ビニール袋、フライドチキンの食べ残し。色とりどりのお菓子の袋が、モノトーンのレールの上のゴミをよけいに際立たせる。
「なんでー?」と思って上から覗いていると、見ている先からみんな平気でポイポイ捨てる。親が捨てると、その後ろで子も一緒になって捨てる。まるでレールの上はゴミ捨てるところとでも思っているかのよう。おまけに日本のようにそこかしこに冷房があるわけでもないので、駅のホームは蒸し暑い。そのため夏の地下鉄は生ゴミや汚水の匂いで臭くていられない。
日本から観光にやって来た友人は、「ココ、工事中なの?」という。
Times Square 42nd st.の地下鉄のホーム。工事などやってはいない通常の状態だったのだが、労働者のニューヨーカーは、なにもかもがやっつけ仕事だから、壁も床もタイルもつぎはぎだらけ。日本のきれいな地下鉄が、基準となっている彼女の目には、それが工事中と映ってしまった。
ストリートでは、紙ナプキンが風に舞う。据え置かれたゴミ箱はいつも満杯。そのまわりはコーラやジュースの残り水があたりをべとべとにする。
一体誰が清掃するのかというと、真夜中に巨大な掃除機がやって来て、ごう音を立てながら、散らかったゴミを、大きなモップで水といっしょにかき回し、吸い上げていくのだ。
マンハッタンの夜はうるさい。救急車の音が絶え間なく、そのピークを過ぎると、明け方にゴミ清掃車とその巨大な掃除機が街中をかけめぐる。
慣れない私は、毎夜その音で飛び起きた。
エッセイ:東京書籍『教室の窓』掲載
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2年前に書いたんだけど、今あらためて読むと暗いなあ〜。
そのころまでは、よっぽどニューヨークに頭にきていたらしい(ニガワライ)。
今は高尾にやってきて心落ち着いてトラウマも消えて来ている。人って厄介なもんだね。
これには続きがあるが、のっけるかどうかは考え中。
それにしてもNY生活でトラウマ作った人は、他の日本人にはいないんかね。
軟弱なのはわたしだけかあ〜。
絵:『ニューヨークのゴミ箱』
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