2008年10月11日土曜日
カメムシのやど
私はカメは大好きだが、カメムシは苦手である。
キンモクセイが街じゅうに匂いたつこの季節は、ついでにカメちゃんのニオイも登場する。
私は人より鼻の穴がでかい。鼻の穴がでかい人は許容量があると言われているが、私のばあいは、鼻くそをほじりすぎて大きくなった。鼻くそをほじり過ぎると、結果的に許容量が大きくなるんだろうか。そうなりたい方には、ぜひ鼻ほじりをお勧めする。
おかげさまで、からだの中で一番嗅覚が敏感になってしまった。そんなわけであのニオイは私の弁慶(?)の泣き所なのだ。
昔、意図せずしてカメムシ旅館に泊まってしまった。そこは山深い自然の中に、すっぽりと埋もれるように建てられたひしなびた(『ひなびた』ではない)温泉旅館。部屋に入ってがくぜんとする。何百匹というカメムシが、部屋中で暴れ回っていたのだ。
「こっ.....ここで、寝るんですか...?」やっとの事で口を開く私。
「はい。この時期はしかたないですね。カメムシさんたちは昔っからここに住んでおられるんです。私たちはあとから来た、いわば新参者ですから」若いお兄さんは、ニコニコしながら、こともなげにそう言った。
ブーンブーンとカメムシさんが飛び交う中で、夕食をする。煮物の上にとまったカメムシをあやうく口に入れそうになる。コントロールを失ったカメさんが私のほっぺたに激突する。「ビシッ!」
「こっ...このヤロ...!」思わず手が出そうになる。しかしつぶせば思いっきり例のニオイで猛反撃を食らう....。理性がそれを押さえる。天井という天井、縁という縁にびっちりとうずくまっているのだ。こやつらがいっせいにブーイングをすれば、私の無敵の嗅覚がどういうことになるのか、目に見えてあきらかだ。
恐る恐るこっそりとふとんを敷き、足元に注意をしながら、誰にも粗相のないよう床につく。(温泉旅館とはくつろぎにくるところじゃないのか!)しかし、それでもどこかで私たちを気に入らないやつがいるらしい。ニオイは一晩中続いた。
次の日泣きながら帰ったのは言うまでもない。
しかしカメムシは、あのニオイは自分で平気なんだろうか。じつは一度テレビで実験を見た事がある。同じことを考える人はいるもんだ。
カメムシを密閉された容器の中に入れておいて、上から突っついてわざと怒らす。すると見えない敵に向かってニオイ攻撃を発射!が、その秘密兵器はどこにも行けず、狭い容器の中で充満。
カメムシさんは、自分のニオイで失神した。
これは、自分の武器は諸刃の剣というふかーい教えでもあった。(ちっとも深かーねーよ)
スカンクでもやってみたいなあ。
絵:サルのいる温泉宿 『けんぽ』表紙掲載
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