2022年12月12日月曜日

一瞬の奇跡


 

大きな奇跡じゃない、ほんの小さな、

気づかぬような奇跡が起こったことについて書いてみる。


それはある役員会での出来事。


新しい形を望む大多数の人々と、昔からあるパターンで行こうとする一人の重鎮。

案の定、やる、やらないで言い争いになった。


言葉の上に他の言葉が重なり、誰も相手の言葉を聞いていなかった。

ただ自分の主張だけが飛び交っていた。


それは互いに硬いブロックを投げつけあっているように見えた。


その光景を見ながら、心の中で言い続けた。

「私は聖霊さんとともに赦します。

聖霊さん、あなたの見方を教えてください。。。」

心はだんだん静かになっていった。




口から言葉が出てきた。

「私たちは全面的に拒絶しているわけではないのです。

時代とともにみなさんの考え方が変わってきました。

その時代に合わせて形を変えていこうという提案なんです。

従来通りの四角四面の形ではなく、どこまで協力し合えるかというお話なんです。」


一瞬空気が優しくなった。空気が微細になった。

彼が元々持っている優しさが表に現れてきた。


そして何事もなかったかのように、

重鎮は柔軟になって、私たちの提案を笑顔で受け入れてくれていた。




私たちは幸せを形で求めようとする。

でも幸せは形の中にはない。


私たちはただ、自分の存在を認めて欲しいのだ。


そのためには自分が主張する形を受け入れてもらうことで、

自分を認めさせることができると信じているが、それは違う。

そこに答えなどなかった。


重鎮は愛を求めていた。

その思いを受け止めることが最も重要なことだった。

私を認めてくれとは、私を愛してくれという心の叫びだった。


その叫びを聖霊は受け取った。

そしてあの時聖霊は私を使って伝えてくれたのだ。

あの発した言葉だけではない、もっと深い思いをも。


それは同時に私にも教えてくれていた。

真実とはこういうことなのだよ、と。



心の変化は一瞬にして起こる。

それまであったものが一瞬にして消える。

これが奇跡と言わずしてなんというのだろう。

私は密かに心が震えていた。




今でも思い出す。

あの一瞬の空気のやわらぎを。平安を。


覚えておこう~っと。




絵:「そよ風」





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