大きな奇跡じゃない、ほんの小さな、
気づかぬような奇跡が起こったことについて書いてみる。
それはある役員会での出来事。
新しい形を望む大多数の人々と、昔からあるパターンで行こうとする一人の重鎮。
案の定、やる、やらないで言い争いになった。
言葉の上に他の言葉が重なり、誰も相手の言葉を聞いていなかった。
ただ自分の主張だけが飛び交っていた。
それは互いに硬いブロックを投げつけあっているように見えた。
その光景を見ながら、心の中で言い続けた。
「私は聖霊さんとともに赦します。
聖霊さん、あなたの見方を教えてください。。。」
心はだんだん静かになっていった。
口から言葉が出てきた。
「私たちは全面的に拒絶しているわけではないのです。
時代とともにみなさんの考え方が変わってきました。
その時代に合わせて形を変えていこうという提案なんです。
従来通りの四角四面の形ではなく、どこまで協力し合えるかというお話なんです。」
一瞬空気が優しくなった。空気が微細になった。
彼が元々持っている優しさが表に現れてきた。
そして何事もなかったかのように、
重鎮は柔軟になって、私たちの提案を笑顔で受け入れてくれていた。
私たちは幸せを形で求めようとする。
でも幸せは形の中にはない。
私たちはただ、自分の存在を認めて欲しいのだ。
そのためには自分が主張する形を受け入れてもらうことで、
自分を認めさせることができると信じているが、それは違う。
そこに答えなどなかった。
重鎮は愛を求めていた。
その思いを受け止めることが最も重要なことだった。
私を認めてくれとは、私を愛してくれという心の叫びだった。
その叫びを聖霊は受け取った。
そしてあの時聖霊は私を使って伝えてくれたのだ。
あの発した言葉だけではない、もっと深い思いをも。
それは同時に私にも教えてくれていた。
真実とはこういうことなのだよ、と。
心の変化は一瞬にして起こる。
それまであったものが一瞬にして消える。
これが奇跡と言わずしてなんというのだろう。
私は密かに心が震えていた。
今でも思い出す。
あの一瞬の空気のやわらぎを。平安を。
覚えておこう~っと。
絵:「そよ風」
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