「ありがとう!」
友達からうちの旦那へのお見舞いの、美味しいスープを受け取った。
大きなタッパーを返すとき、
「空じゃ悪いかな。何か気の利いたものを。。。」
と思ったが、そんな間もなく「ありがとう!」と返した。
空のタッパーを振って、
「この中に、ありがとうがいっぱい入ってるね」
と、友達は言ってくれた。
そうなのだ。
それこそが本当のお礼なのではないか。
人様に何かをもらったら、それに見合うものをお返ししなければ、、、という思い。
その思いには、どこか後ろめたい思いを含んでいる。
借りを作ったから、その借りを返さねばと。
その心の底に、罪悪感が見え隠れしていた。
それは差し引きゼロにしたい、チャラにしたいという思いがあった。
それは違う。
それこそ、その思いをくださった方にめちゃ失礼だ。
「ほんっとに、美味しかったよ!」
という思いだけを伝えるだけでいい。
心の訓練するほどに、心の方がますます重要になってくる。
形象は結果であって、その原因は心。
心が結果を作っている。
そしてそれはどれだけ巨大なものか。
私たちは思いを形にすることに躍起になってきた。
愛しているよという思いを形に、楽しいを形に、思い出を形に。。。
そうしていつの間にか、その形がもらえないことに悲しんだり悔しんだりしている。
それは本末転倒ではなかったか。
美味しいスープ。
そのスープと、思いをいただく。
それと同じ量の形と思いをお返しすることなどできはしない。
本当に、「ありがとう!」と、いっぱいの思いを相手に送る。
それこそが大事なのだ。
私なんかが、そんな思いは受け取りきれません。
そんな資格などありません。。。
そういう思いが、私の中にあった。
でも思いを受け取る力が私にもついてきたように思う。
それは罪悪感がちょっとづつ減ってきたからなのだろう。
道を歩けば、たけのこに当たる。
京都からも美味しいものが届く。
おばさんは、
「ありがとう!」と言って、
いっぱいの思いを、もらいうける。
絵:ミステリー表紙イラスト
0 件のコメント:
コメントを投稿