2022年2月24日木曜日

袖振り合うも他生の縁

 


「こんにちわ~」


山すそを縫うように続く遊歩道を散歩する。


すれ違うハイカーの人たちとごあいさつ。

狭い道なので互いにゆずり合う。


道の脇で待っていると、

「あ。すいません。」

と、少し急ぎ足になるハイカーたち。


「どうぞどうぞ。ごゆっくりお通りください」


袖振り合うも他生の縁。

あなたとはきっとどこかでお会いしたことがありますね。


一瞬のふれあいにすべてを託す。

互いが互いを思いやって、世界が収められていく。

ひとつずつ、過去が消えていく。


長かった冬の山に、春のほころびが感じられ始めた。




絵:「樹」/和紙


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