「これ、夢なんだ。。。。」
そう思うと、さっきまでの恐れが消えていることに気づく。
日々の生活の中で、無意識に恐れと格闘しながら、恐れと共に考え生きている時、私は夢の主人公になっている。
しかしその恐れに気づきそれを赦した時、私は夢の中に住む一人の住人ではなく、それを引いてみている、夢を見ているものになる。
明るい日差しが車内を照らす。
ガタゴト揺れながら、目の前を流れていく風景を眺めていた。
改札を出て目的地に向かう途中でも、ここが夢であることを意識しながら歩いていた。
すると視線の先にゆるいキャラがいた。パチンコ屋さんのキャラクターのようだ。
猫のような恐竜のような、よく正体がわからないゆるキャラが、
まあるい体をユッサユッサと揺らしてリズミカルに動いている。
巨体から突き出たちっちゃな足を右、左と交互に出しながら踊っている。
その姿を見た時、私は衝撃を受けた。
いきなり嬉しくなったのだ。心がぱあっと明るくなった。
「きゃあ~~~!楽しい!めっちゃ嬉しい!」
たくさんの人が行き交う中で、私の心は喜びで広がった。なんて素敵なんだ!なんて楽しいんだ!
興奮のあまり走っていって、そのゆるキャラをむぎゅ~ッと抱きしめたくなった。
そうか!これなんだ!これが真実なのだ。
この幻想の夢の世界の中で、唯一の真実がそこにある。それをあのキャラは教えてくれた。
いや、そのゆるキャラが真実ってな話じゃない。
その思いだ。
それは軽く、明るく、楽しく、嬉しい。
それこそが事実なのだ。
夢の中の主人公には、この世界は深刻だ。いつも取り掛からなければいけない問題を抱え奔走する。
そして自分がその夢の中にいる主人公であるとさえ気がつかない。
だが苦しみの中でふと気がつく。これは本当の苦しみなのだろうかと。この苦は実在するのかと。いつまでそれを追いかけ続けなければいけないのかと。
そこで初めて疑問がわく。一体この世界はなんなのだ?
そして視点は夢の中の主人公の視点から、この世界が実在していないことを知識で知り、やがて夢を見ているものの視点に移る。
これは無なのだと知ることによって、しばらくはその視点で安心できるかもしれない。
だけどその夢からいつ覚めることができるのだろうか。
それは真実はどこにあるかを教えてもらうしかない。
どこに向かっていけばいいのかを。
そしてその夢から出る出口を教えてもらう。
「こっちこっち~。こっちだよ~ん」
聖霊がかぶりものをして呼んでいた。
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