畑に行ったら、サルの軍団がいた。
こっ、、、、こんなにいたんだ。。。
その数、12匹。
やまんばの姿を見て、親分子分子ざる等引き連れて、わらわらと畑から出て行く。
みな西の山の方に逃げていったが、一匹だけどんくさいやつが反対方向の東側に逃げた。フェンスの向こうに行って気がついたんだろうな。あれ、自分だけ取り残されてるって。
その13匹目は、じっとみんなが逃げた方をながめながら、その場を動かなかった。
やまんばは悠々と畑の中を歩く。「ここはわたしの畑よ」と無言の主張をする。
コブシをあげて「こらあー!」などと、大人げない行動はしない。(ほんとは全身鳥肌立ってんだけど)
畑はほぼなにもない。
白菜は根こそぎ食われ、大根は最初は引っこ抜いてちょこっとかじってほっぽらかしていたが、そのうち自分でほっぽらかしていたそれにも手をつけて、ちゃんと食べ尽くしていく。三浦大根のような、簡単に引き抜けないものは、前は土から出たところだけをかじってあったが、今はそれもわざわざ掘り起こして、土の中まで顔を突っ込んで食っているようだ。よっぽど山に何もないようだ。
ネットを厳重にかけた葉牡丹みたいに広がった白菜はかろうじて食われないままでいる。でも網をかけたキャベツはどうやったのか、食い尽くされた。
「西洋と中国野菜は食わないわよ。さすがニホンザルね」
と、近所の畑のおばちゃんはウケをねらう。
おばちゃんの畑のルッコラとチンゲンサイは食べなかったらしいが、ウチの畑のチンゲンサイは食われた。
どっちかとゆーと、苦いものやからいものは食わないみたいだ。それと豆科の植物には今のところ手を付けてない。絹さややソラマメが出来るまで待っているというのか。
みんなが心配しているのは、夏野菜だ。キュウリやナスやトマトや。。。いったいどーやって防御するのだ?
このさいだから、サルに野菜作りを教えてしまおうか。
イノシシにそこらの山を耕してもらって、サルにキュウリの種をわたす。食おうとするのをとめて、土に植えるのをみせるんだ。マネをするとほめてあげて、じっと待つことを教える。実がなったら食べる。どおよ。
やまんばの畑のとなりに、サル農園ができて、みんなで収穫のよろこびを分かち合う。
どおよ。
13匹目のサルは、いまだにフェンスの向こうで、地面に落ちてるなにかを食いながら動かない。
やまんばは作業しながらサルを見る。するとすぐ視線に気がついてこっちをみる。すかさず目を逸らす。また見る。すぐ気がつく。目を逸らす。。。を繰り返した。
さっきまで真っ赤だった顔の色が、今はピンク色に変わっている。心が落ち着くと顔の色が変わるようだ。
やまんばが小屋の陰に隠れると、13君は畑の中に入ってきた。畑を横切って西に行こうとしているのだ。畑の途中で余裕ぶちかまして座って何かを食おうとしている。やまんばは、なにげに近寄った。13君は食べるのをやめて逃げる。
そしてまたフェンスの上でこっちの様子をうかがっているので、すかさずこっちも余裕ぶちかましながら近づく。下手に騒がない。無言の威嚇をする。
13君はピンクのたまたまをぶらぶらさせながら、悠々と西の山に消えていった。
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