2008年11月3日月曜日

2つの脳みそ



私はニンゲンには、二つの脳があると思っている。

それは右脳と左脳?
いやいや、それは頭の中に入ったしわくちゃの脳みそと、
胸の中心の奥にある脳みそ。

いや、脳みそっていっちゃうからこんがらがる。
アイディアというべきか。

あるアイディアが浮かぶとする。
すると私はそのアイディアが、頭の中から来るのか、胸の奥から来るのかをチェックする。

この二つの場所はまるで種類が違う。

頭の中から来る物は、「常識」や「法律」や「こうしなければならない」という思いを通してやってくるものが多い。例の私の「ちゃんとしなきゃ病」もここからくる。
人様にご迷惑をおかけしないように、とか、大人でしょ、あんた!とか、どっちかっちゅうと、自分を押し殺しちゃうようなアイディアが満載。

ところが、胸の奥からやってくるのは、常識を飛び越えている。突然思いついちゃうと、
「ええ〜っ!」とか「何でえ〜〜〜〜〜っ!」とか、心がウチ震えちゃうくらいおっかないアイディアだったりする。でもその後ろで、すごく小さな声で「ウフ.....ワクワクする...」という自分自身の声が聞こえる。

そう。胸の奥からやって来るアイディアは、地球上の(いや、ニッポン人としての?)常識を超えているのだ。だからおっかないのだ。「そ、そんなのあってはイケナイ事なのだ」とか「いやいや、わしの人生で、こんなことを考える事自体、あり得ないのだ」とか、心はおろおろしちゃう。
そりゃ、そうだ。それは地球圏外から来るアイディアだからだ(?)。


私がニューヨークに行った理由もそこからくる。

阿佐ヶ谷のアパートで、毎日近所の犬の鳴き声を聞かされていた。その犬が散歩に連れて行かれるところを見たことがない。犬好きの私としては、とてもいたたまれないものがあった。
そして「犬に未来のない国に、はたして明るい未来などあるのだろうか?」などど思ってしまった。
すると突然、誰かが
「ニューヨークに行け....」といったのだ。

その言葉は、私の中から聞こえた。
すでに行った事のあるニューヨーク。現実を見て「こんなとこ、住めねえ..」と、悪態をついていたくらい、住みたくもない魅力のない街だった。
「ええ〜〜〜〜〜〜っ!あんなきったない町?誰がいくのよ〜〜〜」と、かなり動揺をした。それから一週間、私の様子がおかしいのに気づくダンナ。「おまえ、なんかおかしいぞ」
ことの次第を伝えると、それまでジーッと黙ってたダンナが、口を開いた。
「よし、行こう」


これはまさに、胸の奥から来たアイディアだったのだ。
おかげさまで「この国に未来はある!」ということを、7年半のNY生活を通して、痛感させてくれた。

あの時、あの声に「ジョーダンじゃないわよ〜」って笑い飛ばしていたら、今の私はいなかった。いつまでも日本に愚痴をこぼして、それを理由にうだうだしていたかもしれない。



昨夜、ある友人から、
「こんなことを思ってしまったんです...」と電話があった。彼も常識とそのアイディアのはざまで心が揺れている。私は、冒頭の二つの脳の話をする。

「そのアイディアがどっちからきているのか、自分で静かに聞いてみたら?」
すると彼は迷いもなく、
「はい。これは、胸の奥からのものです」と、いった。

彼の人生が、また新たに始まりそうだ。



ニンゲンは地球とつながっていると同時に、宇宙ともつながっている。地球上の今の常識は、ちょっと前は常識ではなかったかもしれない。そして未来も。
心の奥の脳は、何か偉大なものを見つめているのかもしれない。

絵:ANA「動物診断」さびしがりやのオオカミ

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