私は夕方になると、ちょっとした酒の肴を作って縁側で一杯やるのが日課になっている。
長い冬が終わって、暖かくなってくるに従い、庭も色も少しずつ色づいてくる。
それを眺めながら麦汁(缶ビールのこと)か、
レモン汁(チューハイ)、ぶどう汁(ワイン)をチビチビやるのだ。
目の前はすぐ山。その下に川が流れている。人工物と言ったらお隣の倉庫ぐらい。
川と山の間に小道があって、登山客が歩いている姿を見るだけ。
一杯やりながら鳥の声を聞き、時折漂ってくる花の香り、草いきれ、川のせせらぎを聴いて過ごす。
その至福の時間といったらこの上ない。
でも正直言うと、お酒を飲んでホワンとすることに、どこか罪悪感があった。
ギシギシした心を癒してもらうことは、お酒を飲んで逃げているんじゃないか?と。
でもそうじゃなかった。このホワンこそが、本来の私なのだ。
見るものが優しく、出来事もどこか遠くのことのように思え、
さっきまでギシギシしていた出来事への反応も、全てが大したことないように思えてくる。
お酒を飲まない時でも、そのホワンとした感覚が日常の中で増えていくに従い、
あ、お酒のせいでそうなっていたわけじゃなかったんだ、
元々そうだったんだと思い出されていく。
その時の私は、でへーっとしてて、ニヤニヤして、
この世界では何もできない人、アホっぽくなる(笑)。
でも心は上機嫌なのだ。
この世界を近視眼的ではなく、遠くに無責任に見ている。
へえ~。そうなんだ~って。
どう生きていいかもわからない。
これからどうしたらいいかもわからない。
何をどうすればいいのかもわからない。
まったくの無計画。
これまで必死で考えてきたけど、思ったようにならなかった。
それがわかってきた今、さて、これから一体何をどうすればいいのだ?
うまくやってこれてるなら、とっくにそうなっていたはずだ。
だけどそうならなかったってことは、
やっぱり私はアホなのだ(笑)。
アホを認めて、アホなままでいよう。
麦汁も飲んでいないのに、
すでにホワンとしている朝のひと時。
0 件のコメント:
コメントを投稿