言葉にすると、それはリアルになります。
それまで、ぼよぼよふわふわぼよーんとしていたものが、
「これは○○です」
という名前を付けた瞬間、ぼよーんとしか見えていなかったものが、ゆっくり、急速に形を持ちはじめ、それが○○になります。
「これは○○という出来事です」
と、何かの動きの連続性をみつけ、「出来事」として言った瞬間、それが○○という出来事になります。
わしらの目の前には、最初っから独立して物体が存在していたのではなく、それを誰かが個別の存在としてみつけ、それに名付けたから、みんなはそこを注目しはじめ、リアルなカタチに見え始め、定着し、だれもがそれを
「これは○○です。あたりまえじゃ」
となっていきました。
生まれてまもない頃、目の前のぼよーんとした存在が、こちらに向けてくりかえし、同じ音を発しつづけているので、こっちにあるものは、「つくしちゃん」というものなのだとおもいはじめる。
んで、あっちにあるものが、「おかあさん」というものなのだとおもいはじめる。そうしてこっちとあっちに分れ、その音を出す存在が、カタチとしてくっきりと見え始め、それが、あれは○○、これは○○と、独立した個別の物体を教えてくれる。
そうやってわしらは、音という言葉とともに、この世の「リアル」を作り続けて来たのだ。
今日も新しい言葉/名前が生まれる。
きのうまでなかったものが、今日突然存在しはじめる。
言葉という魔法によって。
絵:表紙イラスト『M1戦国史』
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