2016年10月1日土曜日

産道を通る夢



夢を見た。

機械なのか、人なのか、生き物なのかわからない存在が、わたしの額に手を当てて、「お前の中のものよ、現れろ」みたいなことを言った。

灰色の泥の中に、人の頭のような物が現れて、それがどろどろと溶け出し、骸骨のようなものが現れたかと思うと、それも溶け出し、その中から、わけの分らんものが現れては溶け出し、そしてまた何かが現れては溶け出し。。。をみていると、自分が母親の胎内にいるのに気がついた。

声が聞こえる。あ、父と母の声だ。。。
真っ暗な生暖かい中でふたりの声を聞いていた。
と、突然、身体がある一方方向に引っ張られて行く。
あ、ここからでようとしている。。。
頭がぎゅーっとどこか狭いところに入って行く。。。
うわーっ、くるしい。。。!頭が、伸びて行く。。。!
息ができなくなくなって、ちょっと向きを変えると、隙間があって、そこで息をする。でももっとぎゅうぎゅうに押し込められて、息ができなくなる。
くっくるしい、死んじゃうーーーっ!
声、母の声、看護婦さんの声?
自分のまわりの壁が、つるんとしてて、生暖かい。でもくるしい。。。
もうすぐ抜ける。。。きっと明るい所だろう、とふむ。
しかし出た先は、灰色の石がゴロゴロしたような風景しか見えなかった。

そこで目が覚める。

はーっ。何ちゅー夢を見たんだ。
おきてぼーぜんとする。

じっさい、わたしはかなりな難産だったらしい。
出てきたときは、長ーい頭。ほとんど死産にちかかったそうな。
医者は、わたしのからだを逆さに持って、背中を強くばんばんたたいた。
しばらくのち、息をしたらしく、その最初の産声は「おぎゃあ」ではなく、病院中に響きわたるような大声、「わあーーーーーーーっ!」だったそうな。

考えたら、産道を通るあいだは、まだ肺呼吸してないわけだから、息ができないわけないけど。。。。?
夢じゃから、いーかげんなもんだw

しかし、産道の、ヌメッとした、ぬるっとした、つるっとした、なんともいえない触感は、妙にリアルだったし、あの狭い空間を自分が通って行く感覚もはっきりかんじた。出る!出る!ってなかんじw

それにしても、そういう自分をその中だけでなく、どこからかそれを客観的に見ている視点がそこにはあった。

泥の中に形態を変えて行く姿も、ひょっとしたら体内で、は虫類、魚類、哺乳類へと変化する過程だったかも知れない。

今もほほに、まだ母の産道の感覚が残っている。

絵:「クモマツチョウ」/洋紙、和紙、水彩

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