2010年10月21日木曜日

ノンアルコールで酔っぱらう





「これ、いただいたから飲んでみてよ」
「やだ。ビール嫌いだもん」
「だいじょーぶ。これはノンアルコールのビールなのよ。飲んだってヘーキだってば」

ダンナは酒が飲めない。飲めないというよりは、飲みたくないらしい。若い頃はジンをよく飲んだと豪語するがウソかもしれない。だってビール一口飲んだだけで酔っぱらって、すぐ寝ちまうのだ。本人いわく、「あの、酔った状態のもわ~とした頭がクリアでない感覚が許せない」のだそう。のんべにとっちゃ、あの「もわ~」とした感覚が忘れられなくて常習しちゃうのに。

でも知り合いからあえて「ダンナに」とプレゼントされちゃったのだ。飲まさないわけにはいかない。ホント言うと、「これ、ビールだから」とダマシて飲ませて、ノンアルコールで酔っちゃうかどーか、確かめたかったのだ。しかし、ビールと分って飲むダンナではない。そんなウソはどっちみち通用しない。実験できなくておもしろくねえなあ~と思いながら、「ノンアルコールのビールだよ」と渡すことにした。食事前、何回か「飲んでみてよ~」とトライして、やっと「じゃあ、飲んでやるよ」といった。

一口飲んで、いや~な顔をする。「ビールの味がする」と。あたりまえじゃ。
それからそのあと一口も飲まなかった。なのに、食事をしながらこういう。
「おれ、顔赤くないか?なんか、目のまわりが熱い」
ダンナの顔をみてびっくり。完全に酔っぱらっている。目が充血して、顔はもちろん、耳まで赤い。

「ノンアルコールって。。入ってるじゃないかー」
缶ビールを見る。
「だって、0.00%って書いてあるよお?」
「ホントは0.009%かもしれないじゃないか!」
その下の数字は切り捨てられていると言いたいらしい。あのねえ。いくらその下が9でも、その量たるや微量すぎてハラの足しにもならんわい(意味不明)。

これはどーゆーことか。かぎりなくゼロに近いアルコールにも、こやつの身体は敏感に反応するというのか?じゃあ、今車に乗ると、飲酒運転で捕まっちゃうんだろうか。アルコールが検出されちゃったりするんだろーか。もしそーなら、恐るべし!自分でアルコールを作りだす男!と三面記事に載っちゃう。

まさにこれこそが、頭が身体を作っていくメカニズムの典型なのではないか?病いは気から、というのが「病気」という言葉を作ったように、頭で反応したものが、身体に表れて来る。。。いや、まてよ。頭は「ノンアルコールだ」と思っている。。。
そーか。舌が覚えているのだ!

ノンアルコールのビールを一口飲む。口の中にビールの味が広がる。そうすると以前、町内会で飲んべえのオヤジどもにムリヤリビールをたらふく飲まされて、べろんべろんになったことを思い出す。その時の感覚がふたたびよみがえって、かあ~っと顔が熱くなるのだ。そしてその熱さに今度は心が反応する。
「おれって、酔っぱらっちゃってる。。。。。」
そーして身体まで完全に酔っぱらいの状態に入るのだ。これはほとんどパブロフの犬じゃねえか?

「これビールだから」と、ダマして飲ますより、もっとおもしろい結果が出ちゃった〜、うほほ〜い。

ということは、逆に、私らが「わ~い、ビールだ~」と飲んでいるうちに酔っぱらうのは、飲んだら酔う、と信じているからかもしれない。

恐るべし!人の心と身体の直結度は、ジョーシキをつくがえす!


絵:オリジナル

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

私の先輩はアメリカ出張時、ルートビールを買い込み、みんなでホテルでさんざ飲み、べろべろになって盛り上がり、翌朝、缶の成分表示を見た結果、(トーゼン)ノンアルコールで、昨夜の盛り上がりは何だったのだろう。という話になったそうです。道理で美味くなかったと・・。

つくし さんのコメント...

ぐぁはは〜〜〜。おもろ〜〜〜い。
やっぱり人は気持ちで酔っぱらうのかあ〜。

出張先でちょっとコーフン気味。日常を離れた解放された気分もかさなって、酔っぱらえちゃう準備満タン。舌にはいつものビールの味が入って来る。心は「これはビールだ」って信じているから、身体まで酔っちゃう〜。

ホントは、麦茶でも酔っぱらえちゃうんでしょうね。でも麦茶は「お茶。ビールとちゃう」と信じているから酔うはずもなく。(今度、麦茶に炭酸入れて『これ、ウチで造ったビール」っちゅて、誰かダマシてみよおか)

身体って、チョーいい加減な反応してるんかもね。

ってか、ほんとは、安い発泡酒にもアルコール入ってなかったりしてね〜!