2010年10月25日月曜日

ブームってなに?




ニッポンに帰って来て、はじめて聞いた言葉が「デトックス」。
なんじゃそりゃ?
毒抜きなのだそうな。帰って来た2004年の頃は、デトックスブーム。ニッポンのセラピー取材のお仕事をさせてもらった時も、デトックス体験をさせてもらった。足を特殊な溶液につけ、何かの電流を流す。すると見る見るうちに足の入った液体がまっ茶色になる。リトマス試験紙みたいな色見本があって、私の液体の色をあわせてみる。

「これはすごい毒が出ましたねえ〜」と言われる。私にはそーとー毒がたまっていたらしい。
「でもだいぶ毒が出たから、大丈夫ですよ」
あれから5年経つ。デトックスにいっていない。これはそーとー毒が体内にたまっているにちがいない。

って、ほんとだろうか。
テレビで、つねに食べ物と健康に気を使いデトックスをいつもしている奥さんと、付き合いで酒とタバコ漬けのダンナの身体の毒素を調べていた。結果は奥さんの毒の方が多かった。毒抜きばかりをしている自分の方が、身体に悪いコトしているダンナよりも多いことに、奥さんはショックを受ける。番組はそこで何の解釈もなかった。ただ笑いを取っただけだった。

これは何か大事なことを現している。そもそも毒抜きというものは必要なものなのだろうか。からだの中に排除しなければいけないものがあれば、からだは勝手に排泄物として出すのではないのか?無理矢理汗をかいたり、マッサージで油を搾ったり、溶液に足をつけて毒素を抜く必要があるのだろうか。あれから5年たつが、毒抜きをしなければいけないという切迫感は、私にはない。

これもまた、人を恐怖に陥れる戦略のひとつではないか?健康ブームには必ず恐怖がセットになっている。「これをしないと、えらいことになりますよ」「あなたそれでいいんですかあ〜?」「ほ〜ら、今すぐ!お電話を!」

健康番組は、ひどい症状の人をまず紹介。番組のゲストたちは、
「わあ〜、ひど〜い」という、一貫したリアクションをみせる。視聴者もいっしょに「わあ〜、ひど〜い」同じようなリアクション。
番組の司会者が「もうこうなったら、たいへんです!」
ゲストは「うわ〜、私もそうなったらどーしましょー!」という心配リアクション。すると司会者はすかざすこういう。
「ところがここにとっておきの、いいものがあるんです!」
「え〜っ」とゲストたち。
視聴者も「え〜〜〜っ!何か解決法があるのね!どれどれ?」(すでに番組の一員)
「これを使えば、一気に何もかもが解決!さあ、あなたも今から!」

そー言って、翌日スーパーで売り切れた納豆、バナナ、黒豆、きのこ、ヨーグルト、餃子、チャーシュー、チャーハン数知れず(そんなのあったかいな)。
遥か昔にあった健康サンダルや健康グッズや健康食品はいまどこに?どんだけそれにお金をつぎ込んだ?さて、今、さぞかし健康になったことだろう。。。
え?昔はよかったのよ、今はほら、もうトシだから。。。(結局健康になってない?)

そこには意図的に仕組まれた何かがある。解決方法は最初からあるのだ。何かを売り出したいのだ。納豆でも化粧水でもなんでも。それを売るためにまず問題提議をする。メタボになります、シミになりますと。
テレビを見ると阿呆になるから見るなと言われたのが、私が子供の頃。それを言った本人が今は「テレビがいうことだから間違いない」と信じ切っている。完全に阿呆になっている(笑)。
あれがいいこれがいいと視聴者を振り回し、日本中を世界中をフンソウさせる。解決法で、ガッチリもうける仕組み。番組のスポンサーは、製薬会社、保険会社、化粧品会社、金融関係、食品会社。何か意図を感じない?

しかし、もっと大きく仕組まれたことは、庶民をいつも心配させておくことだ。恐怖をつねにもたせ続けることなのだ。それが一番いい問題提議。常に心配だから常に情報が欲しい。だから常にテレビに釘付けにさせることができる。するとタイミングよく、解決法が用意されているのだ。

現代人は必要以上に心を振り回されている。いらないものまで買い込まされている。いつも心はおろおろと、ああでもないこうでもないと揺れ動く。

私たちは、心がどのように反応して動いているのかを学んだことがない。学校で教わっていない、親も知らない。ただいつも目の前に現れて来る現象にだけ解決法を見出す。あらわれているからそれにだけ振り回されている。しかしその現れているものが、意図的に作られているとしたら、私たちは一体意味のあることで、振り回されているのだろうか。私たちが、これはいいもの、これはいけないもの、と判断しているものは、果たしてどこから来たのか。ただ、そう思い込まされているだけなのではないか。自分で決めたことのように思うことが、実は誰かの例であったり、アイディアであったりしないだろうか。

ばい菌がつくから、虫歯になるから、ウイルスがつくから、と恐怖をあおり、石けんやシャンプーや、歯磨きを買わせる。そして出来上がった新たな病気でもうける。そんなシステムがこの世にあるとしたら、どーする?

さてその結果は、何もしなくてもいいことが私の身体は教えてくれた。それは単に石けんだけの世界でとどまらないのではないだろうか。あらゆるプラス思考(あれもしなくてはいけない、これもしなくてはいけないという思考)が、あらゆる問題をひき起こしているのだとしたら、現代人はなんておばかな生き方をしているのだろうか。

物質面からの摂取と、心配して恐怖するという心の両面が、ふくざつに入り乱れて、今の日本人の心と身体を蝕んでいるんではないだろうか。このままいったら、きっとわたしたちは、極まってしまう。これはもう、政治家を変えるとか、システムを変えるとかで変わる問題ではない。心の中に完全に入り込んだ、作られた価値観の毒素に気がつくことしかないとおもうのだ。

それって、心のデトックス?


絵:coopけんぽ11月号表紙「キクの妖精」

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

デトックスって知らないなぁ。
でも、気持ちは判ります。
毎日「アレしなきゃならん」「コレしなきゃならん」って終われる毎日ですから・・。

つくし さんのコメント...

あれこれやることがいっぱいのぱぱさん。おつかれさまです。

日曜日、おおママさんと、草刈りやってくれたのお?
きれいになってたよ。ありがと。