黒い大地に触れて
畑で佇む。
2mの高さになったオクラを引き抜く。
大地を踏みしめる。
クモをそっとフェンスの向こうに追いやる。
大地をほぐす。
黒い土と戯れる。
わたしは、動物を擬人化した絵本が好きではない。
わたしは、植物を擬人化した絵本も好きではない。
わたしは、動物も植物も、人間とはまったく違う世界を生きているとおもう。
心があるのは人間だけだとおもう。
心がない世界は冷たいものか?
いや、むしろ逆だと思う。
かれらは個別の意識を持っていないようにおもえる。
むしろひとつの意識の中でいるようにさえおもえる。
人間の意識を越えた、とてつもない世界にかれらはいるように思える。
畑にひとりいると、そういう感覚の中に入る。
ことばにできないなにかで、満ち足りてくる。
擬人化された動物や植物たちの物語を聞いて、
幼い子供たちが、かれらを人間とおなじだとおもうことに、
どこかしのびなさを感じる。
人間の自我のレベルにおとしめられるような、窮屈さを感じる。
そんなところに、かれらはいない。
絵:「ねこじゃらし」/和紙、水彩、オイルパステル
0 件のコメント:
コメントを投稿