2025年1月17日金曜日

空は私

 

「秋の鬼女蘭」和紙、水彩

最近、空を見上げるのが好きだ。

夕暮れ時の西の空。山の上の空は少し黄色がかっているが、目線を少し上にやると薄ピンク色、さらに真上にやると紫がかって見える。筋状の淡い雲がたなびいて、ゆっくりと移動しながら少しずつ形を変えていく。

こうした空をじーっと見る、ゆっくりとした時間を味わうのが好きになった。


夜、「車にマスクをかけてくる」と、

車のフロントガラスに凍結防止用のカバーをかけに外に出る。


見上げるとかすかに星が見える。ここ高尾も都会と同じぐらいしか星は見えない。

星を見ている気になっていたが、星を見ているのではないと気がついた。

夜空全体を感じているのだ。


大きな大きな夜空全体。

その大きなものが私の中に浸透してくる。

降ってくるのかな?

それとも私が大きくなっていく?


大きな夜空と大きな私は一つになる。

それは昼間も同じ。

青空も、曇り空も、夜空も、全身で感じる。

全身でとらえる。

全身で受け取る。

いやそうじゃない、空は私自身だ。


私は癒される。

栄養をもらう。

命の糧をもらう。

叡智をもらう。


すると頭の中で聞こえるこの世の細かいことが、

チリジリになったり、薄くなったり、広がって溶けて消えていく。




もともと空(そら)だった私が、ある時から小さな人間になっていった。


頭の中で絶えず聞こえる声が、

「この世界を生き延びるためには」と教えてくれた。

あれに気をつけて。そうなってはダメよ。あの話は本当よ。

その声を聞いて、私はますます小さくなっていった。

小さく、苦しく、生きていくのが精一杯。。。


ある時、その声自体が私を小さくさせるのだと気がついた。

でもその確証はない。

随分遠くまで来てしまった。


どっちに向かったらいい?

本当のことを教えて。。。


長い旅の末、空があることを思い出した。


私の心の中と空が結びつき出した。


空に答えがあった。


形も五感も感情も思考も超えた何か。


そこに心を向けると、壮大な叡智が私に教えてくれる。



おかえり、つくし、と。











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