最近、空を見上げるのが好きだ。
夕暮れ時の西の空。山の上の空は少し黄色がかっているが、目線を少し上にやると薄ピンク色、さらに真上にやると紫がかって見える。筋状の淡い雲がたなびいて、ゆっくりと移動しながら少しずつ形を変えていく。
こうした空をじーっと見る、ゆっくりとした時間を味わうのが好きになった。
夜、「車にマスクをかけてくる」と、
車のフロントガラスに凍結防止用のカバーをかけに外に出る。
見上げるとかすかに星が見える。ここ高尾も都会と同じぐらいしか星は見えない。
星を見ている気になっていたが、星を見ているのではないと気がついた。
夜空全体を感じているのだ。
大きな大きな夜空全体。
その大きなものが私の中に浸透してくる。
降ってくるのかな?
それとも私が大きくなっていく?
大きな夜空と大きな私は一つになる。
それは昼間も同じ。
青空も、曇り空も、夜空も、全身で感じる。
全身でとらえる。
全身で受け取る。
いやそうじゃない、空は私自身だ。
私は癒される。
栄養をもらう。
命の糧をもらう。
叡智をもらう。
すると頭の中で聞こえるこの世の細かいことが、
チリジリになったり、薄くなったり、広がって溶けて消えていく。
もともと空(そら)だった私が、ある時から小さな人間になっていった。
頭の中で絶えず聞こえる声が、
「この世界を生き延びるためには」と教えてくれた。
あれに気をつけて。そうなってはダメよ。あの話は本当よ。
その声を聞いて、私はますます小さくなっていった。
小さく、苦しく、生きていくのが精一杯。。。
ある時、その声自体が私を小さくさせるのだと気がついた。
でもその確証はない。
随分遠くまで来てしまった。
どっちに向かったらいい?
本当のことを教えて。。。
長い旅の末、空があることを思い出した。
私の心の中と空が結びつき出した。
空に答えがあった。
形も五感も感情も思考も超えた何か。
そこに心を向けると、壮大な叡智が私に教えてくれる。
おかえり、つくし、と。
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