2012年11月25日日曜日

エアー演説



ある時畑の真ん中で、やまんばの顔がかあ~っと熱くなった。
とーっても恥ずかしーことを発見しちまったのだ。

畑に行く前に知り合いの人にであった。
彼女はいつも忙しく働く人で、地域の人々のために身を粉にして働く。
「今日も忙しいのよ~。レポートを提出しなきゃいけないの~。明日は演説でしょ~。もうたいへんなのよ~」

引っ越してきてまもない頃、地域のことが分らずぽかんとしているやまんばを、あったかく引っ張り込んでくれたいい人なのだ。
ただあまりに忙しすぎて、落ち着いてものが考えられないところがある。だから時々会話もからわまりして、二人の話が全然かみあわないこともよくある。
その日もかみあわないまま「じゃあね~。またね~」と別れた。

やまんばはそのまま畑に行って、みやまこかぶの種まきをした。9月に播いたこかぶが収穫を終えて、その畝にまたこかぶを植えてみようと思った。おきて破りの連作である。
オオイヌノフグリを根っこから引っこ抜いてちょこっと耕し平らにしてこかぶの種をすじ播きする。
作業をしながらぶつぶつなにか考えている自分に気がつく。

「○○さん、さっき私が言ったのはこうでしたよね。でも今あなたが仰っているのは、私が今言ったこととは反対のことを言ってるんですよ。私が言ったこと聞いてましたか?」
「でもあなたがそういうのはわかります。そういうことは大事ですもの。ただね。それには限界があると思うんですよ。それは結局枝葉の部分であって、根本的なところの解決にはならんのだと思うんです」

な、なんだ?

なんと。やまんばは、種まきしながら、あの時面と向かって彼女にいえなかった言葉を、畑で一人になってブツブツと頭の中でしゃべっていたのだ。

こっこれは、いわゆるほら、あれ。ちまたでうわさのエアーギターならぬ、ひっ、、、ひとりエアー演説じゃねえかーー!

あのときいえなかったことや、もやもやしてたことを、そのシーンを思い出してはアーダ、コーダと演説をエアーでぶっこいて、いえなかったジレンマを解消しようとしているのだ。その時の自分はとーっても理知的でかっこよく、スマートで、美人で、英雄みたいなのだ。
君、なに妄想しているの。バカじゃないの?

you tubeでみかけるエアーギターやエアーヴォーカルも「その気になって」やる。やまんばもいっぱしの英雄気取りでやっちまっていたのだ。でもさ、よく考えたらこのブログだってエアー演説みたいなもんだ。誰に向かっていってるわけでもないのにいっぱしのこといって、いい気になっているんだもの。

よおするに、エアーギターも、エアーヴォーカルも、エアー演説も自分に酔っているんだな。わしだって時々エアーヴォーカルやる。ヒーローやスターになった気分で、一人妄想する。
これって。。。子供の時とおんなじじゃねえか。
風呂敷を首に巻いて、とおちゃんの腹巻きを巻き、そこに竹の物差しをさし、スカートはパンツのゴムの中にたくし上げていさましく仁王立ちする、あのけなげだった3歳児のやまんばの姿とちっとも変わらんじゃないか。


だけどさ、思考ってこういうことなんかな。
上司に怒られたあとでぶつぶつ文句を言うのだって妄想の一部だし、カミサンにあのときああいってやれば良かったなんて思っている時も、男らしく「だいたいお前はだなあ。。。。」といっぱしの演説を頭でぶっこいてたりしないかい?金八先生のようにかっこよくものすごーい説得力を持ってしゃべってないかい?そんでそんときゃ、だあれも口答えせず「ふんふん、すごーいお父さんのいう通り!」なんちゃってソンケーされているシーンなんかを思い浮かべちゃってたりする。
でもじっさいは
「なーにいっちゃってんのよー。さっさとゴミ出ししなさい」
とかいわれて、しぶしぶゴミ出ししちゃうのだ。

思考のけっこうなところは妄想で、妄想はエアーなんだったりして。。。


エアー演説やっている人、この指とーまれっ!



写真:畑のミズナ。
はじめてここまできた。去年までは双葉の段階でみんな虫にくわれていた。
おっきいのからとっていったら、小さいのがあとからあとから大きくなってくれる。だからいつまでもとれる。虫もほとんどいない。最初っから何もしなければよかったのか。はたまた試行錯誤したからこうなったのか。ひょっとしたら方法論をさがすことに疲れ果てて、考えるのやめちゃったからこうなったのか。自然は摩訶不思議だ。

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

はい!!

つくし さんのコメント...

わーい、いらっしゃあ〜い。
ひとり、みーっけ!