近所でよく通っている焙煎コーヒー屋さんの店先にウメの木がある。
今年、ご主人にたくさんのその梅の実をいただいて、生まれてはじめて梅干しというものを作った。
我が家にはハカリというものがなくて、何キロかもわからない。それでも電話で、高知の母の遠隔操作で奮闘しなんとか作った。出来てみたら、こりゃまた予想外に塩加減が強く、友人に言わせると「男前の味」だそうな。
ま、はじめてにしては上出来。その男前の梅干しを、毎朝起きがけにお湯でといて梅茶にして飲む。何ともいえない風味と、いいあんばい(塩梅)のお茶。体にしみわたってくるのがわかる。まいったな。これでまたまた元気になっちゃう。
たとえ不完全だろうと、きっと人はその梅干しの栄養素だけではなく、その梅が育った場所の雰囲気や、ご主人の様子、そして私と母が悪戦苦闘した日々までも味わっているにちがいない。梅干しという一個の小さな物質の中には、あやゆる思いや、エネルギーが満ちていて、すごいパワーを秘めていることを体は知っているのだ。それはスーパーで「高級品」として売っている和歌山の梅干し(私には手が出せない)よりもなによりも、燦然と輝く、超逸品の男前の梅干しなのだ。
絵:レタスクラブ「お金の本」掲載
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