2015年10月6日火曜日

やまんばの白髪





54歳のやまんばは、口紅はおろか、化粧品一個ももってない。石けん使わないので、顔がパサつかないから、化粧水も、クリームももってない。
石けんなし生活の髪は染めてもない。まるっきしの、天然そのまんま。

このごろ友だちが、髪を染めるのが面倒になったといっていた。染めるって、けっこう面倒なようだ。

先日もしばらく会っていなかった同い年の女性が、あたまが真っ白になっているのを見てビックリした。彼女、あんなに白髪があったんだ。ずっと染めていたのだ。しらなかったなあ~。
その日はどこかのお葬式の帰りだったようだったが、喪服姿に8割白髪。すっぴんに、うっすら紅を引いただけの彼女は、どこか色っぽかった。

人は「べき」にずっととらわれて生きているんだけど、特に年がいってくると、女の人はけっこう不自由だなあ~とおもう。

化粧はするべき。
髪は染めるべき。
料理はするべき。
やせるべき。
ジムには行くべき。
健康管理はするべき。
体にいいものを食べるべき。
習い事はするべき。
親の面倒は見るべき。
子どもの面倒は見るべき。
家の掃除はするべき。
洗濯はするべき。
電気はこまめに消すべき。
ゴミはできるだけ少なくするべき。
ご近所さんとは波風立てないようにするべき。
みんなが見て「正しい」ことをするべき。

近所のおばちゃんとはなしをしても、あれをしなきゃ、これをしなきゃ、と言う話でもりあがる。美容院行かなきゃ、病院行かなきゃ、ジムに行かなきゃ、孫の面倒見なきゃ。。。

なんか、強迫観念のように、やまんばに訴えてくる。
まるで、「私、これやっているからいいでしょ?オッケーでしょ?大丈夫でしょ?」って、同意を求められているみたいだ。

もちろん、いいよ。おっけーだよ。
でもねえ。いつまでも人に同意を求めてるってことは、
ずーーーーっと、人の目を気にして生き続けることになるよ。
ずーーーーっと、ありもしない架空のモノサシで、自分をはかり続け、心が落ち着かないまんまなのだよ。

つまり、自分で自分が認められないのだ。自分がこれでいい、と心底思えないからだ。だからつねに外のなにかと比べてオッケーか、オッケーじゃないかをはかり続けるんだ。

それほど、自分で自分を認めることは、相当難しい。
やまんばだって、ここに来てやっとそのことを、はっきりわかり始めたところなんだもん。
とてもじゃないが、
「あら、勝手に出来ちゃった」
なんて自然にいかないんやろな。(笑)


絵:「水仙ちゃん」:越前茶ペットボトルのキャラクター

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