2011年9月25日日曜日
妖怪んちの屋根とんだ
台風15号が高尾に吹き荒れた。
大雨の中、ケータイがなった。
「妖怪んちがたいへんみたいよ。様子見にいって」
珈琲屋のマスターからからだった。
暗闇の中、庭に何かが散乱している。家の中は水浸しだった。
「屋根がね、飛んだのよ。。。」
裏の木が風にあおられて壁に当たり、ゴンゴン音がするといっては外に出てずぶぬれになり、となりのとたんが飛んで来たといっては、またずぶぬれになって対処し、やれやれと家に入ってホッとしたのもつかの間、
「バリバリッ。。。。どお〜〜〜〜〜ん!ってでっかい音がしたのよ。んで、な、何?って思って庭を見たら、何かでっかいものがある。ほんで『こ、これは、どこから。。。?』って上の方見たら、テレビのアンテナがグニューってひん曲がってて。。。うちの屋根だった。。。」
二階に上がると、天井から水がぼたぼたぼたぼた。。ふとんの上にもぼたぼた。。。天袋あけたら、天井のベニヤがぱたぱた風にあおられて、そのすきまから「お空が見えた。。。。」のだそうな。
それから妖怪は、プラスティックの衣装ケースを中身をほっぽり出して雨漏りのする畳の部屋に置きまくる。そうしているあいだにも雨漏りはなおさら部屋中に広がった。
やまんばとダンナが妖怪んちにいった時には、パンツやストッキングが散乱する水浸しの凄まじい状態だった。雨漏りを止めるためにほりなげた衣装ケースは、たまたま下着類のケースだった。
「こ、、これ、どーするの。。」
「もう。。。どーしていーのかわかんない。。。」
とりあえずバケツや洗面器で水を受け、シートでぬれちゃまずいものをかこった。しかしどんどん雨漏りはあらゆる箇所からやって来て、家の中で傘ささないといけないぐらいになった。畳は今ものすごい重いんだろうな。
そうするあいだにも何度も停電がおこり、ショートするとまずいので、とりあえず電源を切った。真っ暗闇、みんなで雨水の音を聞く。妖怪は保険屋さんや消防署などに電話。消防署さんもその日は忙しく、人命に関わることでないと来てくれなかった。
妖怪は被災者になって、やまんばのうちに避難してきた。やまんばは被災者に炊き出しした。被災地に行かずしてプチボランティアになった。
翌日起きてみると、近所はどこも被害がなかった。妖怪んちだけがピンポイントで被災していた。裏はJRの線路。その後ろが山で、木が無惨におれている。どうも妖怪の家の幅だけくっきりと一直線に風が北から南に吹き下ろしたようだ。ピンポイント竜巻でもおこったか?隣のお家は屋根の上にいろんなモノが乗っかっているのに何も被害がなく、きっちりと鉄の屋根で被われた妖怪んちの屋根だけがめくれあがって飛ばされていた。それにしてもそのめくれ上がった屋根がどこにも行かず、誰のうちも被害に巻き込まず、お行儀よく自分ちの庭にだけ落ちてくれたのは不幸中の幸いだった。ちなみにその一部がずっと南の畑の上に落ちていた。やはり相当な風だったようだ。
「なんで、おれんちだけ。。。?」
「さあ。。。。。」
人生とは不可解なものである。
よーかいんちがとんだ、
やねまでとんだ
やねまでとんで、
あなあいてぬれた。
あーめあめふるな、
よーかいんちがぬれる。
(「シャボン玉飛んだ」の替え歌で)
絵:「The Drums of Noto Hanto」より
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4 件のコメント:
びっくりですねぇ・・・。しばらく屋根が飛ぶなんて被害は、聞いたことないです・・(あ、身の回りで。ですが・・)。
町内会の神社のイチョウの木の直径30センチの枝もおれてたよ。まわりの梅の木もいっしょに。すごかった。
ちょうどその下の畑に落ちたから良かった。もうちょっとで民家にいくところだった。
町内会の男衆がそろってチェーンソーでバリバリ処理してた。かっこいいおじじ集団でした。
そうとうな風だったようですね。私は、京王線の車内で台風が通りすぎるのを待っておりました。後日、散歩に行くと、小仏川沿いでも大きな樹が二本、根っこをあらわに倒れていました。
リスさん、おつかれさまでした。電車の中で待つのもつらいなあ。
ありゃま、いつもの散歩コースでも木が倒れてたんだ。
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