2011年3月26日土曜日
風が吹くとき
風が吹くとき。
風が吹くとき、桶屋が儲かる(ちがうだろ)。
あったなあ。チェルノブイリ事故の後でた絵本「風が吹くとき」。まさにそんな感じを彷彿とさせる今日この頃、皆様方はいかがおすごしでしょーか。つい最近まで風が吹くと、
「かっ、花粉が飛ぶううう〜〜〜〜〜」と身を固くしておりましたが、先頃は
「ほっ、放射能物質が飛ぶううう〜〜〜〜〜」と戸締まりを固くする気分でしょうか。
また毎日この上なく風がふきまくっております。この風を受けて、西に逃げるもの、海を越えるもの。
畑の真ん中で風を受けながら、白菜やアブラナ科の植物から育ったナバナを摘んでいる。心なしか、素手でつむ指先がひりひりする。すべての植物にやや緑がかった黄色いこまかい粉がびっしりはりついている。気象庁に、「こっ、これは放射性物質ではないのか!?」という問い合わせが殺到。「いえいえ、これはスギ花粉です」と報道。するとネットでは「ああ、ついに気象庁までもが大嘘をついた。あれは放射性物質だ!」とおおさわぎ。
ド素人の私が判断するに、あの粉は毎年飛ぶスギ花粉にしか見えない。しかしその中に放射性物質が紛れ込んでいるやも知れぬ。たまたま同じ色と形をした物質かもしれぬ。どう解釈するも、その人次第である。
これだけ情報が氾濫すると、原発の安全性の情報は見事なぐらいピンからキリまである。いったいどれが本物なのか、真実を語っているのかさっぱりわからない。死ぬ気で原発まで8キロの地点までガイガーカウンターをもっていった方がいらっしゃる。その方いわく、全く安全だったそうだ。「私は原発の見える所に家を買って、福島の野菜、肉、魚を食う!」と豪語なさった。そこに続く人もあれば、とんでもない所にきている!という方もおられる。
これをどう解釈するかは、その人がどう解釈したいかにかかっている。つまり逃げたいなあ〜と思っている人には「やばいぜ!今すぐ逃げろ!」という情報をほしがるし、まだここにいたい。。。とか、移動できない。。。と思う人には、「全然ダイジョーブです」という情報が欲しい。だからそれを納得できるまでネットを見る。テレビを見る。そうしてだんだん分らなくなってくる(笑)。
結局、どっちなの。。。?
やまんばは畑の中で風を感じる。
西から吹くかと思えば、北から吹く。びゅお〜びゅお〜と四方八方から吹き荒れる。この中に放射性物質はあるんだろうな。まるで日本中を駆け巡ってすべてを覆い尽くさんばかりに吹き荒れる風。ふと高知が恋しくなる。ああ、高知までは飛んでないかな。。。
でもどうしても帰る気になれない。どこまで逃げてもやがてやってくるかもしれない。今はそんなふうに逃げる自分がイヤだ。今この瞬間にも原発で死を覚悟してがんばっているフクシマ50の人々がいるのだ。すでにおなくなりになった人もいると聞く。そしてその近場で、身内をなくされ、家もなくし、食べ物もなく身を振るわせている人々もいる。なんでこんな遠くにいる私が逃げられようか。とんでもない文明の負の遺産をこれ以上の被害がでないようにがんばっている人々に申し訳ない。
いつも来る宅急便のおじさんがいう。
「たいへんだよね。だけど、被災地の人々の事考えたら、こっちじゃどうってことないよ。ちょっとぐらいがまんしなきゃね」
うんうん。おじさん、どうってことないよね。
先日チェルノブイリの森の話をかいた。
あそこに今でも住んでいる人々がいる。放射能をあびて、放射能入りの野菜を自給自足して、そしてがんにもかからず元気に生きているそうだ。広島で原爆症にかからなかった人々がいる。日本の伝統食を食べていたそうだ。みそ、梅干し、玄米など、塩をよくとったそうだ。そして爆心地に近い所で被爆しなかった人もいるらしい。なんと酒蔵の中にいた。
何か自然は私らの左の脳ではお呼びもつかない芸当を見せてくれるようだ。いや、私たちがあまりにも短絡的で目先の事しか見えず、もらった「知識」だけを鵜呑みにして生きているから、このような事態に陥ってしまったのかもしれぬ。セシウムとかウランとかプルトニウムとか、こむずかしー名前はついていても、所詮この地球上でとれたもので作り上げたものなのだ。この地球がさくさくと解決していくのだろう。ただその時間がニンゲンの考える範囲かどうかはしらないが。
今は、人が、ほんとうに人であれるかどうかを問われている時期なんじゃないかなあ〜とおもうのだ。昔、戦争が起った頃は情報が一辺倒だった。しかし今は完全に逆になっている。ありとあらゆる情報に溢れている。だからこそ、その心持ちが、今問われている。
ニンゲンはそんなにやわな生き物ではない。
絵:「モンスター列伝」坪内寿夫/元来島グループ社長
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2 件のコメント:
全く違う世界が始まるのかもしれない・・。
100年後どうなってしまうのか??
おいらの知ったことじゃないけれど・・・。
たぶん、もう始まっている事でしょう。今まで通りには行かない。
これから私たちは未知の領域に踏み込んでいくのです。
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