2009年6月26日金曜日
不屈の魂をもつキジバト
うちの庭に一本大きな木がある。もみの木かなにかだ。こいつが難攻不落の要塞である。枝という枝が複雑に絡み合い、その中で枯れる。そこにまた新しい葉が茂り、ぐちゃぐちゃな枝振り。が、鳥たちには、そこには魅せられる何かがあるらしい。あらゆる鳥がその木を住みかにしようと試みる。だがどいつもこいつも落とせない。
そんな魅力的な木に今月もまた、一羽のキジバトがやってきた。案の定、口ばしにか細い枝をくわえている。たどたどしい足どりで木の奥に入ろうとする。が、くわえた枝がじゃまをして、その細長い入り口にからだが入らない。顔をヨコにしたりからだを細長くしてみたりする。そのうちくわえた小枝を落としてしまう。ここであきらめるかとおもいきや、その落とした枝を探しまわる。枝の中に枝が落ちたんだから、見えないに決まっている。でもあきらめない。(こいつはA型か?)もみの木の枝を降りたり上がったりしてついにさっきくわえてきた小枝を見つける。今度は枝を斜めにくわえて入っていった。お、やるじゃん、キジバト。
それから調子こいたのか、次々に枝をくわえては運んできた。川向のクリの木の細い枝を折っては持って来ている。材料調達にも便利なところを選んだものだ。それにしてもわざわざ木から枝を折って持ってくる。枝なら地面に山ほどあるではないか。拾えばもっと簡単なものを。でもこれには理由がある。まだ生きている枝はしなるのだ。ほっこりとした巣を作るには、枯れた木の枝では固くてイケナイ。
一日中それをやり続けてから、ぱたっとこなくなった。彼女でも探しにいったんだろうか。が、2、3日してまたやって来た。また枝をくわえている。おお、まだ途中であったのか。きっと初日の大奮闘で疲れて休んでいたのだろう。しかしそれも30分ほどでやめてしまう。彼女とデートの時間でもあったのだろうか。
それから、ちょこっと来てはいい加減な巣作りをしていなくなる。鳥博士に聞くと、キジバトは一度に何カ所も巣を作ると言う。今のところ、我が家の木も候補巣(それを言うなら候補地)のうちの一つなのか。
でもさ、彼女がかりにあそびに来ても「何よ、このごちゃごちゃした巣!こんなところで子育てなんか出来るわけないでしょ!」と言われるのがオチか?
ある日、忘れた頃にキジバトが飛んで来た。今度は小枝をくわえないまま、込み入った木の中に入っていく。あれ?なにしに来たんだろ?
もみの木はどこも尖った針のような葉っぱでおおわれているから、すっとはいれない。たどたどしい足どり。私の目線からキジバトのお尻とあんよが丸見え。自分のからだをねじ込むようにして入っていった。そこまで苦労して入らなくても...。と、その時、別の鳩がばーっと、外に飛び出したのだ。
え?今もう一羽いた?
何とまあ、私の知らないところで勝手にゴールインしやがっていた。
もうすでに卵を交替しながら温めているようだ。
あるとき窓辺で本を読んでいたら、例のキジバトがやってきた。中に入らず、枝に止まってじっとしている。私は目を合わさないようにして様子をうかがった。
「ほっほーっ」いっぱつハトの独特の鳴き方をした。そのままじっとうごかない。中に入る様子もない。30秒後、ばーっと別のハトが飛び立った。なんだ、そういうことか。あんまり狭い巣なもんだから、入り口で「今かえったよ〜」とか「はい、交替ね〜」と合図をしているのだろう。で、それまで卵を抱えていた別のハトが飛び立ったあと、巣に入るのだ。臨機応変じゃないか。
難攻不落の我が家のもみの木は、ついにキジバトに落とされた。かわいいキジバトたちが無事巣だってくれる事を祈る。
それにしても我が家の庭の木にはよく鳥が巣を作る。先月はコゲラ。去年はメジロが巣立った。やっぱり、草ぼうぼう木は生えっぱなしのジャングルだから、高尾の山とまちがえちまうらしい。
絵:オリジナル絵本「あめがくる」より
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2 件のコメント:
キジバト君一家の今後の健康と安寧を祈っとります。とくに蛇。
はい!ありがとうございます。
もっかのところ、それだけが心配。でもあんまり心配するとやって来るから、考えない事にします。これインディアン流。
「考えるな!考えるとやって来る」
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