2010年2月25日木曜日
狭いニッポンそんなに急いでどこへ行く
先日、髪を切った。
シャンプーしていない私の髪をおそるおそるお湯で洗うお姉ちゃん。
「ホントにシャンプーしてないんですかあ?」
「うん。かれこれ11ヶ月」
「え〜〜〜〜。臭くないですかあ?」
「臭い?」と私。
するとクンクンと私の頭の匂いを嗅ぎ、
「うん、ちょっと頭皮の匂いがするけど、そんなににおわない」
「それが私のフェロモンさ」と開き直ると、
「え〜〜〜、かあ〜〜っこいい!」だと。
自分の頭皮の匂いをフェロモンといいはなつ客も客だが、それにかっこいいとこたえる美容師のねえちゃんもすごい。
約1年間も洗っていない髪を切らされる美容師さんもたいへんだ。まあ世の中には変なヤツがいるもんだが、この変なヤツも半年に一回ぐらいしかやって来ないんだから勘弁してもらおう。
でもこれだって思い込みなのだ。江戸時代に毎日シャンプーしていた人がいるか?
現代はなぜか髪はシャンプーしないといけないという思い込みができてしまった。だから私を気持ちの悪い客だと思う。でもこの世がシャンプーしなくてもオッケーってな思い込みだったら、美容師さんはおっかなびっくり私の髪に触れないだろう。
もし世の中が「ウイルスがうつるから、人が人に触れてはいけません」というおふれが出たら、人は触れなくなる。「ふれあい広場」なんて公共事業の広場にそんな名前はつけなくなる。まだこの世は人と人とがふれあってなんぼ的な共通の意識があるからそんな名前も成立するのだ。でもすでに除菌という発想がある。それはそのうち触らない方向に向かう事を暗示している。「袖触れ合うも他生の縁」という粋なことばも「袖触れ合えば多少の菌」という警告のことばに変わってしまうかもしれない(笑いごとではないのだ)。
私は最初は石けんなし生活で、「何だ、石けんっていらないじゃん」っていうか、むしろ人の身体にとって邪魔なものだと気がついた。その後草ぼうぼう畑で、農薬は愚か、肥料さえもいらないじゃん、という事に気がつく。有機肥料もいらないどころか、それが野菜にとって、ひいてはニンゲンにとってマイナスの要因を作っている。植物はすべてのものを土壌から吸い上げる。それは農薬も化学肥料も有機肥料もだ。それをたっぷり蓄えた野菜を私たちは食べている。
その結果、ほんとうはニンゲンも自然もあるがままの姿のままですべてが整うようになっているのではないのか?という発想にいたる。「野人エッセイす」の野人さんが言うように、これからはマイナス思考でいく時代なのだと思う。今まで、あれもあった方がいいんじゃないか、これもあったほうがいいんじゃないか、じゃあ、ついでにこれもこれも必要だと、プラス思考ばっかりでやって来たのが現代人なのではないだろうか。その結果、自然からとおーくかけ離れた姿になってしまった。そのプラス思考のおかげで、心の中はいつも「この菌がコワい、あの人がコワい、この国がコワい」と恐怖で頭が渦巻いている。その結果、心のおしゃべりが止まらないのだ。いつの間にか人は自分の心の牢獄にはまってしまっている。今の世の中の不幸や残虐性を、政治やシステムのせいにしてほうけている場合ではないのだ。外に原因を求めても何も動かない。隣の人の指一つ動かせないんだから。まず自分の中に勝手に作ってしまっている「こうじゃなきゃいけない」という思い込みに気がつく事だ。
ひょっとしたら、現代人は「自由という幻想を与えられた奴隷」なんじゃないだろうか。
一所懸命働くと、おいしいものも食べられるし、いい車も買えるし、一軒家も建てられる。それに第一、人とも差別化を図れるし、ちょっとした優越感にも浸れる。でもそれを維持するためには、いつまでも一所懸命働いてね。という自由だ。眼の前にニンジンをぶら下げられてひた走る馬みたいだ。知らないうちに思い込まされた現代の価値観というニンジンを追いかけてはしり続ける馬車馬だ。人はそれを奴隷と思ってはいない。しかしこれが本当の自由だろうか。自分の意志のもとで働いているんだ、どこが奴隷だと怒られそうだ。でもその動機はどこからくる?モチベーションをくれたものは何?
何の交流もない村の中で生きたなら、そんな発想はなかったはずだ。そのきっかけをくれたのは、メディアじゃないのか。テレビ?雑誌?新聞?インターネット?
このまま目の前の理想の姿を目指してひた走って、その行き着くところはいったいどこなのだ。心の葛藤にさいなまれながら老いて病気になって、まわりに嫌な顔されて、自分で自分も嫌になる。身も心もぼろぼろになるとはこの事だ。
ダンナが言う。
「1日8時間労働はきついよ」
本当に人はそれだけ働かないと生きていけないのか。デザイナーの世界はもっと長い。帰りは毎日終電だ。
「狭いニッポンそんなに急いでどこへ行く」というコピーがうたわれたのは、何年前だったろう。今はその何十倍もの早さで事が進んでいる。
おーい、ニッポン、どこまで行くきだあ?
絵:「モンスター列伝」本田宗一郎
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6 件のコメント:
会社の上司、「なんか冬は乾燥してかゆい
んだよな。」って言うのでしばらく石鹸
止めてみたらいかがです。って薦めたん
ですが。「それはオレに文明人を止めろ。
ってことか?」と言われました。orz
まぁ、標準的な感想でしょう。
おかしー。
やっぱそうなのよね〜。
上司にとってみりゃ、石けんなしは原始人並みの扱いになっちゃうのね。屈辱的にとらえられちゃったのね。
いまにみてろ。そのうち、
「石けん使うって、原始人みたい〜」
って言われる時代が来るから!
毎日風呂入るようになったのも、たかだか数十年なのにね。
ほんとね。
日本人の大好きな西洋人でさえ、風呂なんかはいらなかったから香水つくったようなもんなのに。
それをまねて毎日風呂はいる日本人が香水つけちゃう。
フェロモンと混ざらないで、香水の匂いだけしちゃうね。
本田宗一郎さんは、タコ宇宙人なんだ。モンスター列伝気になるな。。。
はい!タコ星人でした!
(見たんかい)
モンスター列伝、そのうちに。
お好きなんですね。経済界の人々。
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