2009年4月22日水曜日
ガビチョウの騒音
近所のおじさんがなげく。
「ちかごらーよお、ガビチョウの鳴き声で、目がさめちまわー。うるさくって寝られやしねえ」
なんでも中国から渡ってきて居座ってしまったガビチョウというちょっとハデめの鳴き方をする鳥が、ここいら界隈を最近占領して、ウグイスを圧倒しているらしい。
「あいつらが鳴くときゃ、ウグイスが遠慮しちゃってよお。ほの字も鳴きゃしねえ」
おじさんはウグイスさんの事まで心配している。
これは環境の変化によって生態系が変わってきているという由々しき問題なのだ。
でも...突然コンクリートを打ち砕く爆音で目覚めていたニューヨーク帰りの私にとって、ここの騒音はそよ風の音に等しい。おじさんの嘆きを聞いて、フキンシンにも思わずへらへら笑ってしまう。
(すんません)
どんどん引いて考えたら、コンクリートを打ち砕く音も、雷の音に比べたら、そよ風の音よりも小さいにちがいない。何を基準として考えるかによって、人それぞれの幸不幸は決る。
しかし人為的な音は、大自然の爆音よりも不快な気分になるのはどうしてだろうか。同じ音でも自然が織りなす音は、ある種の法則を持っているのかもしれない。ニンゲンが作り上げた音には、その宇宙の法則とは違うリズムが入っているのかもしれない。
これがゆらぎのようなものだろうか。
うちの犬のユタの心臓の鼓動は規則正しくはなかった。
「トク、トクトクトク....トックン....」
彼の心臓に耳を当てて聞きながら、目を閉じると心地よい感じがした。いつのまにか自分も同じリズムを刻んでいるような......。
きっと宇宙のリズムとはそんなようなものなのだろうな。軍隊の行進のように寸分の狂いもなく刻むものではないんだろうな。
きっとお山もそんなリズムを刻んでいるに違いない。
今お山は「ほっほっほ」という笑いから、「があーっはっは」という高笑いに変わった。
絵:coopけんぽ表紙「フィッシング」
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