2009年4月7日火曜日
高尾山のわき水
高尾のお山のふもとには、わき水というのか、山の脇から勝手にしみ出てくる脇水(わき水?)というのか、があちらこちらにある。
でもわき水というのは、富士山のふもとの名水のような、何十年も何百年もかけて濾過されたミネラルたっぷりの、地面から湧き出てくる水の事をいうのであって、高尾のそこらの山のどてっぱらに、
「水がしみ出てくるから、ちょいとパイプでも突っ込んどいてやろうか」
などというイーカゲンなものは「脇水」でよろしいのかもしれない。
そんな脇水をときどき汲みに行く。
脇水であるからして、天候に味が左右される。雨が降ったあとは、雨の味がする(笑)。雪が多いと、苦みがある。衛生管理局がやってきて、顕微鏡で水質検査をするでもない。自身の腹が下ったか、下らなかったかが基準になる(笑)。
それでも気に入った場所の脇水には愛着がある。いつも飲みそめているから、危険か危険でないか、いつのまにかセンサーが動き出す。(これを動物的直感というのか)
同じ山の中でもそれぞれに味が違う。上に生えている植生によっても違うし、南向きの山か、北向きの山かでも味が違う。
やっぱりどこまでいっても脇水なのである。ありがたい富士山の名水とくらべてはいけない。でもその機嫌の変わり加減が、何となく私にはあっている。
私の貧そな舌によると、杉林の下の脇水は、固い味がする。
反対に、広葉樹のふもとは、柔らかい。個人的には広葉樹のふもとの脇水が好きだ。
今日も汲みに山に入ると、おじさんたちがちょうどそこでランチをしていた。
私たちが汲んでいると、
「ここの水はうまいかね。やっぱりコーヒーがうまく入るかね」
と、おにぎりをほうばりながら聞く。
じつは、ここの水はコーヒーがうまくなるわけではない。むしろ緑茶にはっきりとのその違いが出る。抹茶にいたっては、きわめつけだ。絶品になる。
お正月に若水をくんでお茶会を開くその醍醐味が、この水を使うとよくわかる。やはり日本の水には、日本のお茶が一番合うのだ。
おじさんは、脇水を横目で見ながら(試しにひとくち飲んでみる様子もなく)、持って来たポカリスエットで、おにぎりをのどに流し込んだ。
おじさんおじさん、そのおにぎりには、ここの水で入れたお茶が一番合うんだけど...。
自然観察に来たおじさんたちは、地元のニンゲンが目の前で飲んでいる水さえも疑う。一体なんの自然観察なのだ?
「自己責任」という言葉は、人と人とのあいだに溝を作ってしまった。
日本人も変わったなあ....。
夢のない話だが、高尾は人が多く入山するので、脇水に小便が混じっているぞ、とおどされる。わたしも薬王院のある方向の山のは、どのみちあまりおいしくないので飲まない。
もし飲む勇気のある人は、自己責任...じゃなくて、自己センサー(動物的直感)を働かせて、あまり人が踏み入れない場所のをどうぞ。
って、そんなとこ高尾にないってか?
絵:けんぽ表紙「柳川」
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2 件のコメント:
何しろ星4つ。ですからね・・。
しかし、お水の味は正直よくわかりません・・。
といいますか、結構味音痴です。orz
あれ?
お酒の味はわかるのに?
あ、水じゃあ酔えませんからね〜(笑)。
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