2016年11月12日土曜日

そんなもん、あったっけ?


うまいサトイモを食っても消えていく。
うまい麦汁を飲んでも消えていく。
お金が入っても消えていく。
寝ていても目が覚める。
若いつもりでも老けていく。
安定した生活は長くは続かない。

しかし、
まずい料理も消えていく。
まずいぶどう汁も消えていく。
風邪も消えていく。
しんどいことも消えていく。
花粉症も夏になると消えていく。
貧乏がとまらないこともない。
金持ちがとまらないこともない。

ぜんぶが、現れては消えていく。

草も、野菜も、雲も、風も、光も、闇も。
怒りも、哀しみも、やったーっ!って気持ちも、
全部、みごとに、現れては消えていく。

なのに、人々は安定を求める。
「どこかに絶対的に安心できる法則があるに違いない。」
と、ずーっと求め続ける。

安定した収入、
安定した仕事、
安定した人間関係、
安定した健康状態、
安定した心、
安定した気候、
安定した国、
安定した政治、
安定した経済。。。

そんなもん、あったっけ?

ひょっとしたら、そんなもん、ないんじゃないか、はじめっから。
ないものを探し求めるから、苦しかったんじゃないか。

だからお釈迦さんは「人生は苦である」って、いったんじゃないか。

じぶんの人生振り返ってもそうやった。
ずっと同じことが続くことってなかった。
すべてが変化しつづけたし、今も変化し続けている。

ずっと変わらなかったのは、
この心の中の
「どこかに安心できる、安定した法則があるに違いない」
と、求め続けていた心だったんじゃないか。

その考えにしがみついていたのかも知れない。
不安だから。

その「安定したい願望」が、こころにあらわれたとき、
そこには不安な感情がある。
その感情を消そうとはせず、
ただその思いや感情とともにいよう。

それもやがて消える。


絵:「とらのお」/和紙、洋紙、水彩

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