2011年3月20日日曜日

人はなんかしたくなる




ついこの前まで普通だったものが、普通じゃなくなったような感がある。スーパーは長蛇の列。お米、トイレットペーパー、などが跡形もなく消えている。保存食になるお米がなくなるのはわかるにしても、なんで菓子パンまでがなくなるのだ?おまけに牛乳も。保存できないっちゅうんじゃ。

朝から晩まで震災の情報が流れ、原発の危険性も流れる。ネットではテレビのいうことはウソだといい、早く西に逃げろとかり立てる。
こんな状況の中、スーパーに行けば、お米も菓子パンもなくなっている。人の心理として、いつもあるものがなくなれば欲しくなるものである。商品が届くたびに、あっという間に売り切れるらしい。気持ちは分る。なんかせずにはいられないのだ。

行列のできる店なんかもそうだ。行列ができると「なんか得するんじゃないか?」という心理が走る。で、先頭が何に繋がっているのかも分らず並んじゃう。新宿のなんとかのドーナツ屋さんが出来た時も長蛇の列だった。それを横目に歩いていると、おばあさんがわけもなく最後部に並んだ。おばあさんがドーナツ買うんかいな?と思って通り過ぎる。用事を済ませてまたもとの道に戻ってくると、あのおばあさんがちょうど「ああ、これドーナツの行列なのね」と、独り言をいいながら、列からでた瞬間も見た。人はどうもみんながやっている事を自分もやりたいと思うようなのだ。なんて名前だったか忘れたが、それは立川にも出来た。出来た当初は2時間待ちの札が立っていたので味見できなかった。あれからしばらくたって例のドーナツ屋さんに寄った。だーれもいなかった(笑)。初めて味見したが、2時間並ぶほどの味じゃなかった。

この災害に対して人はいろんな行動をする。なんかしたくなる。いてもたってもいられなくなる。

このところ毎日NYのアートディレクターからメールが来る。
「大丈夫?ああ、あなたの事が心配よ。なんかないものない?何でも言ってちょうだい。なんでも送るわよ」
「え?何でもくれるの?じゃあ、仕事チョーだい!」と言ってみた。
「つくし、今は写真の仕事ばかりだから、あなたが望むような仕事はないわ。」
なら言うなよ。

全世界が日本のニュースに釘づけのようだ。みんな固唾をのんで日本の成り行きを見守っている。おバカなニュースキャスターが「今、日本に世界中が注目してくれているようです」とうれしそうだ。そんな事で喜ぶんじゃない。その心理の奥は、対岸の火事。まるで映画の再現だという気持ちで見ている人も少なくないはず。
しかし少なからず心が落ち着かない。その心を埋めるように、何かしたくなるので、何か出来ないかと言ってくる。気持ちはありがたいが、その後ろにいい人でいたいという彼女の自分を正当化する気持ちも見えているので、もらうほうとしては複雑だ。今はこうしてパソコンも打てる状態なのだから気持ちだけ受け取っておく事にする。

人はものが少なくなると急に欲しくなる。人が並んでいると並びたくなる。特にこんな非常事態の中では、みんなと同じ事をしようとする。だがその根拠はあやしい。今回の騒ぎで、人は基本的にはあまり自分で考えていないのが分る。原発の近くに今も避難している人々や、物資が何もなく途方に暮れている人々のことを考えると、今東京で起っている騒ぎは観念でしかない。今ここに迫った緊急の危機ではないのに、未来の事を憂いて何かしなきゃと思い、わけもなく人々のあとに続く。



テレビは私たちに今出来る事はないかとうったえてくる。なにかしましょうといってくる。あいにく私にはそんな力はない。いい人でありたいとも思わない。私が出来る事はここにいて、近所の人と出来るだけゆったりとした時間を過ごす事だけだ。
今私たちに求められている事は、心を動揺させず、静かな心を保つ事ではないだろうか。これは自然にできる事ではない。意識的にする事なのだ。これが福岡正信さんの言う「何もしない運動」なのだ。今この瞬間にも地球は刻々とこの状況を変化させている。荒治療がおこなわれたのち、その姿をまた静かに調節しているのだ。今だからこそ、私たちは意識的に静かでいる事が、地球さんが押し進めている治癒を助ける事になるのではないだろうか。


花粉症の症状が治まりつつある。苦しくなると何かしようと行動する。しかしその何かする事が、またもっときつい症状を生み出す事に気がついた。それでなにもしないことにした。夜中鼻が詰まって息が出来なくなり、口呼吸して喉が痛くなる。それまで痛くてかゆくて、何かしようともがいていた。
でもそれでもいいじゃないか。そのままにしておこうと。するとだんだん症状が薄らいで来た。薄らいでくると心も静かになってくる。これだって、何かしようとしない事のひとつじゃないだろうか。

放射能と花粉症を同じにするなと言われそうだけど、911のときの状況に今の東京は似ている気がする。私もあのときニューヨークにいたが、心で不幸になっていく人を見て来た。今だからこそ、東京にいるわたしは、静かに見守っていたいと思っている。


絵:「モンスター列伝」なんだけど、エーン、誰だったか忘れたあ〜

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

花粉症が怪しいと思う理由
1.雨の日も雪の日も眼も鼻も痛い
2.寝てる時はくしゃみ出ない
3.窓開けた形跡ないのに、昨日より今日の方が状況が悪い。
ってことがある

よってもって、これは皆勘違いの産物!

・・・のはずなんだけどなぁ・・。目薬さすと、改善してしまう・・。これも勘違い??

つくし さんのコメント...

ワハハ〜、そう!勘違い劇場。
目薬で改善は、たぶん感じなくさせているんだと思うんだけど。麻痺させるっちゅうか。

薬を使わず改善方法。
1。スギの木を見ない。
2。空気の白いのを見ない。
3。かゆさや痛さが襲って来たら、自分でもっとあおる(笑)。
「おうおう、かゆいねえ、いたいねえ。どれどれ、どこまでかゆくなる?どこまでいたくなる?ほ〜れほれ、ど〜れどれ?」
と自分でその場所に向かって真正面から意識を突っ込んでいく。かいたりするのはそれに抵抗しているから。かけばかくほどかゆさが増す。なにもしない。意識だけをそこに集中してその症状から逃げない。

逃げようとするから大きくなる。抵抗するから大きくなる。
ちょっとしたコツなのだ。いっぺんそのコツが分るとあとでいろんな事に応用できる。