2010年8月28日土曜日

海と台風




NHKの大河ドラマ「龍馬伝」はおもしろいんだか、おもしろくないんだか、だんだん分らなくなって来たが、主題歌(?)の中で胸にキュ~んと来るシーンがある。それは最後の方の、海のシーンだ。カメラが白く泡立った海の上をなぞっていく。そのとき私の心はぞぞ~っとする。これだ。これなんだ。私がずっと見続けていた海のイメージ。岩にぶつかる波、荒れ狂う波。アレが私の海のイメージ。間に福山龍馬が走っている間抜けなシーンがあるが、それは見ない事にして、海をなめるようにカメラが飛んでいくシーンが好きダーーー!アレを見るだけのために毎週見ている気がする。。。

小学生のとき、図画工作の時間で、岩に砕ける白い波の絵を描いた。我ながらすごい絵を描いたとほくそ笑んだ。するとせんせーが横にやって来て、
「そんなもの描くんじゃない」
と言った。そしてせんセーは、友だちが描いた絵を高々と持ち上げてこう言った。
「この絵を見なさい。とてもすばらしいです。こうやって良く見て丁寧に描きなさい」
その絵は、ビッチリと瓦屋根が描かれていた。ビッチリ詰まった家々の瓦の一枚一枚をていねいに描き込んだ空間恐怖症の人が描いたような絵だった。
アレで、せんセーに対する私の態度が決まったようなもんだ。教育とは恐ろしいもんだ。たった一言で人が人生に対する考え方が決まっていく。


自然にやさしくとか地球にやさしくというのは、自然の驚異を身近に感じた人は言うだろうか。自然はなにをされようと、全く自分たちのペースで、自分たちの調和を保つために、淡々と時には大胆に変化をする。
私は幼い頃目の前海、後ろ即山!という環境に住んでいた。台風は毎年影響を与える。静かだった波が突然変化する。ずっと沖の方にあった波打ち際が、あっという間に国道のすぐわきの堤防の下までやって来る。轟音と殴りつけるような雨風、山のざわめき、家の中の雨漏り、どこからやって来るか分らない地響き。停電で真っ暗な家の中、家族で身を寄せあって自然の猛威が過ぎ去るのを待つあの時間。「どかんどかん!」何かが飛んで来てそこら中にあたる音。得体の知れない怪物が台風の中を暴れ回っているように思える。死がすぐそこにあるという恐怖感に満たされる。ニンゲンは大自然を前にして何も出来ない小さな生き物でしかない。そして突然やって来る静けさ。外に出ると月が出ている。さっきまでの轟音はどこかに消えている。台風の目だ。あの脅威の中心はなんとも言えない静けさがあるのだ。そしてまたやって来る風。轟音は一晩中鳴り続け、そしてまぶしい朝がやって来る。
家のまわりはきのうと全く違った風景で満たされている。バラバラになった小屋、倒れた木や大きな枝が足の踏み場もないほどにあふれている。浜に出れば、巨大な流木でいっぱいだ。
室戸岬のとんがった先には、ときどき鬼火が見えるといわれていた。台風でなくなった人々の哀しみや怒りが鬼火になって現れるという。
あの「龍馬伝」の海のシーンは、そんな私の海の思いを触発する。とてつもない大自然の猛威、脅威、畏怖の念、抑えきれないなにが胸の奥から溢れ出してくるのだ。


今年は台風が少ない。そしてこの暑さ!何かがこの地球で起こっているんだろうか。考えたら、ニンゲンにちょうどいい気候なんて地球さんは考えてくれるのだろうか。ニンゲンが勝手に「ニンゲンにとっていい気候の地球という天体」と思い込んでいるだけだ。もっと暑くなってもおかしくないし、もっと寒さが増してもおかしくない。地球さんがうっとおしいニンゲン種族を滅ぼすのなんか、お茶の子さいさいなのだ。
そういう意味では、今んところ文句を言いつつも、とりあえずまだ生きていける温度であってくれている事に感謝する。


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4 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

波の絵。なんで駄目だったんですかね?
瓦の絵。なんで良かったんですかねぇ?
偉い人の子供だったんでしょうか?

荒波が好きってことは、ひょっとして
東映映画のオープニングもすきですか?

寝てる時の音って、私も敏感でした。
木や板が「パキッ」って鳴る音や、野良猫
が歩く音。昔は大抵1時間ほどそんな音を
聞いてから眠りに入ったような気がします。

つくし さんのコメント...

おお、そーいや、好きでした。

わ〜れはう〜みのこし〜らなみの〜。
な〜みをこ〜もりのうたと〜きき〜。
てえのがありましたよね。わたしゃ、波の音が子守唄でした。

と、いうことは、枝の折れるパキって音や、野良猫の足音がぱぱさんの子守唄だったのかいな。

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

パキ。は枝の折れる音じゃなくて、板とか柱が、乾燥してはぜる音でした。安普請で、節の多い材料使ってたもので・・。

つくし さんのコメント...

あ、こりゃ、失礼。ピシとかパキとか、木は言いますわね。まさかラップ音じゃないよね〜。

瓦の絵描いたの、クラスで優秀な子でした。
何でもかんでも優秀だったなあ。私、その子にいじめられました!彼女もどこかでストレスためていたんでしょうね。いつも優秀でいなくちゃなんないというプレッシャーで。