2010年4月29日木曜日
荒くれブロンクス畑
高尾のふもとのとある畑の中。やまんばは種に向かってこう言った。
「おまえたち。これからお前たちを弱肉強食の世界に投入する。いいかい。その中で戦い抜いてたくましく育った姿を見せておくれ。そのあかつきには、このおばばが褒美としてお前たちを食ってやるよ。ふおっふおっふおっ。。。」
だんだん暖かくなり、いつの間にか畑には草の緑の世界が広がっている。その草たちに埋もれて野菜が存在しているなどと、近所の美しく耕された畑を管理するおっちゃんたちは、恐ろしくて考えも出来ないことだろう。しかしその草の中をよーく観察してみると、草でぎっちりおおわれているところに限って、野菜も元気に存在しているのだ。コレは生存競争のたまものなのか、はたまたホントの共生なのか。どっちかわからない。しかし現実に草の多いところの野菜は大きい。反対に草がないノッペラなところは、野菜もちっとも生長しない。それどころか、でた双葉もいつの間にか消えている。どうもあたりをうろうろしている茶色いコオロギ(?)ちゃんたちにまんまと食われてしまうようだ。
去年の今頃はユンボで大開拓をしたあとの畑だったから、草がまだ生えていなくて、野菜の種と草との関係がわからなかった。自然農は刈った草をまいた種の上にかけるが、その草もどこからか探して来なければいけなかった。だが今は違う。そこらあたり草は売るほどある。そしてそのときいなかった昆虫もわんさかいる。だからなのか、去年鬼のように出た小松菜の親分さんも存在感が薄い。
ここはまるでニューヨークでも一等荒くれの住む町、ブロンクスのようだ。世界を牛耳るユダヤ人や政治家、麻薬王からド貧民まで、有象無象の住むあの町のようだ。
そこは弱肉強食の世界、いったん入ったからには凄まじいサバイバルがまっている。穢れを知らないかわいいうぶな種は、前後左右360度立体的に襲ってくるあらゆる襲撃に絶えねばならない。
土にはすでに居座っている古株の根が密集。空はほとんどアネゴや親分さんに牛耳られ、太陽もそう簡単には拝めない。やっと双葉を出したかと思うと、巨大なコオロギに噛み付かれ、ミミズに根っこを食われ、幼虫にはくねくねと這い回られて初々しい双葉に穴をあけられる。一緒に入った仲間は次々にヤラレていく。それでも踏ん張り絶え抜いたものだけが、晴れて大空を拝めるという寸法だ。
それだからこそ、生半可な野菜ではない、筋金入りの野菜になるのだ。どこぞの坊ちゃんのように、ママにうんと耕したふかふかのベッドを用意されて、草ひとつない清潔なシーツをあてがわれ、
「ボク?何が食べたい?ボクにうんと大きくなってもらわないといけないからね。ほら!美味しい肥料をた〜ぷりたべなさ〜い」
と、黙っていてもお口に運んでくれるわけではない。
大部屋で荒くれどもにすでに牛耳られているベッドに横たわり、ママに肥料なんてもらえない。自分でその根をうんとのばし、自力で栄養を見つけて来て、自力で大きくならなければいけないのだ!こっ、、これはもうマッドマックスかグラディエーターの世界だあ〜〜っ。
さて、かたやぽっちゃぽちゃにふくらんだメタボな坊ちゃんの野菜と、鍛え上げられたグラディエーター野菜。どっちを食べる〜?え、それって固そうだって。。?
「ふおっふおっふおっ。グラディエーターな野菜のうまさをおまえさんはまだしらんだけじゃ」
やまんばは言った。
絵:バーバラストライザンド(やまんばみたい?)
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2 件のコメント:
昨日もサンタさんが来てくれたみたい。
ありがとさんです。m(__)m
おいしく頂きやした。
どいつもこいつも味濃いなぁと思ってたら
ブロンクス出身だったのですね。
そう。サンタさんは、ブロンクスからやってくる。。。
草の中からエダマメが頭をもたげてきました。
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