2009年10月13日火曜日

上納金



白菜、タアサイ、壬生菜、チンゲンサイ、聖護院大根...。
畑初心者マークのわたしは、わけもわからず種を買ってそこらにばらまいた。
ある日、畑で壊滅的に葉っぱを食われた苗たちを発見する。その後、次々に葉っぱが食われていく。葉っぱを裏返してみるが、犯人は見つからない。一体誰なんだー!
ヨトウムシ....。ふとその名前が頭をよぎる。
確か以前知り合いの農家の人が「ヨトウムシはすごいのよ〜。見つけたらすぐに殺さないと、ねこそぎやられちゃうから。」と言っていたのを思い出す。
さっそくネットで調べる。やっぱりそうだ。ヨトウムシ/夜盗虫。夜盗む虫(そのままやがな)だ!こやつらは夜のそのそと畑にやって来て、葉っぱの柔らか〜いおいし〜い部分を根こそぎ食べちゃってくれるのだ。ひどい時になると、一晩で野菜が全滅することもあるらしい。ひえ〜、こいつかあ〜。どないしょー。
退治方法はやはり薬を使うのがいいらしい。しかし使いたくない。殺したくない。

新たな問題がやって来た。こういう時は、じとーっと観察するに限る。
恐る恐る畑を見ていると、食われた畝と食われていない畝がある。その二つの違いにあるものを発見する。大豆だ。大豆を植えてあった畝には、あまり被害がない。そして大豆といっしょに植えてある畝も。大豆は土の窒素を固定化するといわれているけれど、「窒素を固定化する」の意味は、葉っぱの栄養をつけるというくらいしか私には知識がないので、それと夜盗虫との関係がわからん。でもなにかあるんだろうか。
そしてやられたところは、草が生い茂りすぎているところが多いようだ。しかしそれと同時にそこに野菜も生い茂っている。おもしろいことに、草が元気だと野菜も元気なのだ。しかしそんなところにあえて奴らはやって来ているようだ。ひょっとしたら密集しすぎるていのかもしれない。そこでまわりを刈って、風通しをよくする。
その後ほおっておいたが、あまり夜盗虫は暴れていないようだ。

たぶん、夜盗虫は夜畑に出てくると、
「ハラ減ったなあ〜、なんか食いもんねえか?お、ここに葉っぱがあった。イッタダッキマ〜ス」
と葉っぱを食っているだけなんだが、それが単に野菜の葉っぱだっただけなのじゃないか?と思われるふしがある。しかも柔らかくってうまい。大地の上に野菜の葉っぱしかなかったらそれを食べるだけなんじゃないだろうか。別に野菜だけ狙って食べているわけじゃない。ウチの畑は草だらけだから、他に食べるものがある。だから野菜の葉っぱだけに集中しないんではないだろうか....?


「つまりは上納金みたいなもんだな」
いっしょに畑をやっている、まいううーぱぱさんはうまいことを言った。

よく考えてみると、被害に遭うというのは、ある種のパターンがあるようだ。最初にサル、イノシシ、鳥、など野生動物に枝豆やらキュウリやらカボチャなど、みごとに食べられた。その後、コオロギちゃんたちに食べられた。そして今、夜盗虫ちゃんに食べられている。しかしそれは枝豆事件をのぞいて、決して壊滅的ではない。冷静に考えると全体の1割か2割でとどまっている。

つまりぱぱさんの言うように、親分さんに最初に捧げものをして、あとをわしらがいただく。とまあ、こういう仕組みになっているんではなかろうか。もともと自然は動物や虫や植物たちのものだ。その場所をお借りしているのはニンゲンの方だ。だからショバ代(?)として、1、2割あらかじめお支払いする。すると、親分さんは満足してくれて、
「よっしゃ、よっしゃ」と、あとの取り分をわしらがもらい受けることができるのだ。

最初の枝豆壊滅の儀式は、ある種の警告や戒めだったのではないだろうか。今になるとそう思えてくる。それから熟れているのにほっておいても食べられる。これもある種の戒めのような気がする。み....みられているのだ...。

このごろ枝豆三昧だ。みんなでふかふかにふかした枝豆をほおばって
「しゃ〜わせ〜」と満足している。
あれから結局、サルは新たに出来た枝豆を食べにこなかった。いや、実はちょこちょこ来ているのを私は知っている。ちょこちょこ来ては、何かしらおき土産を置いていく。だけど壊滅的な被害をもたらさない...。

自然は偉大だ。知れば知るほど自然の懐の大きさを感じる。容赦するところとしないところ、ちゃんとわけてある。浅はかな知恵しかない私に「今度、これはどうだ?おおクリアしたか。じゃあ、今度はこの問題は解けるか?」と何かを学べと次々に宿題をくれるのだ。


絵:オリジナル絵本「はなたれさきち」より

4 件のコメント:

まいうぅーパパ さんのコメント...

まぁ、こっちも自然の仲間。って思われたのかもねぇ。

そいえば、南浅川で本間門の強盗が出たそうな。こっちは、上納金ではすまないかも知れないので、お互い注意しませう。

つくし さんのコメント...

へえ〜、本間門の。
じゃあ、畑のカギはしっかりとかけておきやしょう。

まいうぅーパパ さんのコメント...

はい・・・本間門のです・・・。
おうちの鍵もしっかりかけてくださいね。
この町に引っ越して、町会の回覧板に「戸締りはしっかり!」って回ってきたときには、結構ショックを受けました・・・。
つまり、かつては泥棒がいない(来ない?)町だったんですね。

つくし さんのコメント...

はは、そうそう。
私もびっくりしました。
犯罪の街ニューヨークからこの街(村か?)に来て、はじめて出かけた町内会の総会で、会長が
「みなさん、出かける時と寝る時は、カギを掛けましょう」
と言ったのを聞いて目をまん丸くしてしまった。

だって、それまでカギは、3つはかけるのがあたりまえだった街にいたから。

でもやっぱり、いまだにみんな掛けてないよ(笑)。