もうニュースを見てない。
晩ご飯食べてると、次々と聞かされる残酷な話。それを見ながらご飯を食べる気にならなくなった。必要な事柄はネットで見れる。それだけで十分。
夜、すべての電気を消して、カーテンを開け窓を全開する。
夜のあいだに昼の暑さはどこかに行ってしまっていた。そよそよと川から直接上がってくる冷気がここちよい。
昔の人は夕方庭に打ち水をした。夏の風物詩。
うちはそれが川になる。ぜいたくな天然のクーラー。
うちはそれが川になる。ぜいたくな天然のクーラー。
電気を消すと、夜は思いのほか明るい。山の稜線がくっきり浮かび上がる。お天気の夜より、曇りの夜の方が明かるい。目が慣れてくると、樹々がはっきり見える。色はないのに、ちゃんとみえる。月が出たなら、もうはっきりと。
昔月夜のデートに憧れた事があったなあ。畑の脇道を若いふたりが歩く。月にてらされたふたりの顔。山の稜線がキラキラする。
自分はやった事がないのだけれど、いつかどこかで見たことがある記憶。
カジカの声、
かすかに鳴きはじめた秋の虫の声、
時おり聞こえる山の中の音、
野生動物が散歩しているのか。
電気があって、テレビがあって、ネットがあって。
はっきりくっきり見えるものにいつしか囚われて来た。
目の前にあるものでなく、どこか遠くにある出来事に、心は乱され一喜一憂する。いつかどこかで自分も遭遇するのではないかと、脅かされる心。
情報はそれをあおりつづける。
それらを全部消したとき、既にそこにあったものに気がつく。
いつもそばにあった豊かな瞬間。
ゆったりとした時間、空気感。
わたしは今、何にも脅かされていないと気づく瞬間。
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