2010年9月15日水曜日

裏高尾カラカラ砂漠




近所の畑の入り口に、おじさんがひとり座り込んでいた。
「ダイジョブですか?」と声をかけると、
「そろそろブロッコリーの苗を植えないとともって来たんだが、この暑さで身体がまいっちゃって、これからやろうかどうしようかと迷っているんだ。」
おじさんは、畑の入り口に生えている雑草の影に身を小さくしてうんこすわりしている。
「この畑にはどこにも日影がないから、ここですわっているしかない」

先日もそのおじさんを見かけた。一輪車に大きなポリタンクに水を入れて運んで来た。畑の入り口で一輪車の取っ手にすがりついたまま肩を落とし、ぜーぜー言っているのに気がついた。
「だ。。。だいじょぶですか。。。?」
おじさんは、
「もう。。もう。。。。こんなの。。。。買って食った方がましだあー!」
と、雄叫びをあげた。

空前の雨なし現象のおかげで、近所のどこの畑もカラカラ。一面赤い砂漠のようになっている。この「カラカラ砂漠」にいくら潅水してもあっという間に蒸発。野菜を育てるにはしばらくは延々と潅水し続けないといけない。
「とにかく芽出しだ。まず芽を出させないとはなしにならないんだ!」
近所の別の畑のおばちゃんが言うには、大根の新芽はこの暑さで芽がでてもあっという間に枯れていくそうだ。だがおじさんのいう通り、芽がでないことには大根はできん。

今年の夏は本当にきつかった。私はやり始めて2年目だから比べようもないんだが、みんな相当ばてている。知り合いの有機農法のおじさんは、ついに心筋梗塞で倒れてしまった。幸いにも一命を取り留めた。あーほっとした。しかししばらく畑には戻れない様子。きれいに整理してある畑が今は草ぼうぼうだそうだ。

その草ぼうぼうが、今年は生きて来る。
おじさんにはいえないが、じつはウチの畑は大根も葉ものも順調に育ってくれている。土の表面は草が影を作り、土の中は草の根っこが保湿する。この日照りにもかかわらず、水を含み、新芽は枯れることがない。

心筋梗塞を患ったおじさんも、その草ぼうぼうのまま畑をやればいいのに、なんて思う。だが、まちがってもそうはならないだろう。あくまで草は野菜の栄養を取ってしまうと信じているから。私はといえば、草がその土を自然な状態に変えてくれていると信じている。本当のことは誰にも分らない。人間には分りきれるものではないのかもしれない。ただ、みんなそれぞれが信じる方法で進んでいくだけなのだ。


おじさんを残して私も畑にいく。さっぱり育たなかったモロッコインゲンの支柱を外し、まわりの草も刈って、その畝の上に置いた。これから冬野菜を育ててくれるまでのしばしのお休み。どうして育たなかったのかなあ〜?外しながら、やっぱり理由は分らなかった。なにはともあれ、インゲンさんお疲れさま。

帰り道、おじさんにまたあった。
「あれ?ウチに帰らなかったんですか。」
「ああ、あれから結局全部苗を植えたよ」
ホッとした顔のおじさんがいた。


絵:アジアを旅行するガイドブック/香港

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

こないだはお疲れさんでした。
実はワタシも草刈りで困憊した上に悪い虫に刺され、ひどい状態でした・・・。
翌日は右手が腫れ上がり、お湯でも沸きそうなくらい熱くなってましたっす。

土の湿気の件は確かに相当違いますよね。
雑草君たちありがとう!って感じですよね。

つくし さんのコメント...

ありゃりゃ、たいへんだったのねえ。
で、なおったの?たぶんアブにやられたか。ブヨか?
手袋してなかったっけ?
私も気がつかんでごめんね。
草刈りには手袋と長袖かウデヌキが必需品です。一回やられると身体に抗体ができるらしいから、次からはひどさは減ると思うよ。
これからもよろしくね〜!

草刈ってもらったところ、きのうダンナと畝の位置を東西にかえました。
ありがとう!