2010年8月22日日曜日
ここら辺は豊かでいいねえ
くるりさんも言ってくれた、「てきとーにやりましょう」
そうそう、てきとーに、てきとーに。
きのう畑に入って何か様子が違うのに気がつく。あ、またイノちゃんが入ってくれちゃった。トウモロコシはすべてみごとに食いつくし、自家採取のノラボウ(交配したやつ)の畝は、新たに耕してくれ(いらんお世話じゃ)、キュウリの支柱はばったばったとたおされ、ゆいいつたわわに実っていた青いトマトは全部食われていた。
それにしても先日残していったちっこい里芋の苗、残しておいてくれてかすかに期待をしていたのに、それまでも消えている。高かった大野イモ、一口も食えんまま消えていった〜〜〜〜〜〜っ!
それにしてもすごいではないか。畳み掛けるような事実。
幼い苗は次々虫さんに食われ、定植した苗もちっとも大きくならず(ピーマンの苗はいまだに20センチ)、草の勢いは激しく、やっとこさ出来た野菜もイノちゃんやサルちゃんに食い尽くされる。
わしゃ、何食えっちゅうーんじゃ〜〜〜〜っ。草食ったるでえ。
くるりさん、わかってマス。はい。てきとーに、てきとーに。。。心穏やかに。。。。
イノちゃんに入られた事はどこかでなれっこになっている。まずは壊された柵のなおしから、、、と思うのに、身体が動かない。じゃあ、新たに種でも蒔くかあ〜と、畝の上の草刈りをし始めるが、途中で手が止まる。こんな事をやっても、どっちみち虫か、イノちゃんに食われるじゃないか、という思いがよぎって動かなくなる。太陽はとっくに真上にあがって照りつける。
やまんばは、木陰に座って水を飲む。ひとつため息をつく。水を飲んじゃあ、またひとつため息をつく。なんにもしない時間が延々と流れる。田舎の母に思わずケータイで電話をする。
「かーちゃん、畑なんにもとれないよお〜」ぶつくさ愚痴を言う。頭ではこの場所は新たな姿の畑になろうとしているとわかっちゃいるけど、じゃあ、このままほったらかして草ぼうぼうにして、牛糞の肥毒を草さんに抜いてもらっているだけでイイじゃあねえか、と思ってしまうのだ。でも母は言う。
「なにをいゆうが。だからこそ、蒔いて蒔いて、蒔き続けんと畑にならんやろうがね。」たしかにそうだ。このまま草ハヤかしたままにしたら、たんなる「荒れ地」だ。「けんど、蒔いても蒔いてもどーせ全部食べられるがやもん!」
「えいやんか。虫さんやイノさんにもっともっと食べていただきなさい。これどう?おいしいやろ?って」
「え〜〜〜〜」
おとつい、畑からの帰り、地べたに座り込んでいるおじさんがいた。虫かごを持って眺めている。声をかけると、最近日本にいないはずの虫がいるのだと言う。南の方の虫だと言う。私は虫少なくなったでしょ?と聞くと、おじさんは顔をほころばせて
「いんや、ここら辺は豊かでいいねえ。ほら、道にも草が刈られずにある。そうするとだねえ、その草だけに着く虫がいるんだよ。そういうのがここら辺は豊富にいる。きみはその上の畑からやって来たのかい?」うなずくと「いいねえ」といった。ウチの草ぼうぼうの畑を見て嬉しくなったようだ。豊かな虫の世界があると。
「他の畑は虫がいなくて不自然だもんなあ〜」と。生物学者と農家。これは永遠に交わらないのか(笑)。
母は言う。
「あんたのおかげで普通の畑がいかに不自然かわかったがよ。自然農をやると決めたがやろ。はらくくりなさい」
電話を切って、やまんばは壊された柵を直しにいった。
絵:コージーミステリー表紙
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4 件のコメント:
またやられたかい・・。
まぁ、いのししネタを肴に、ビィル飲もか!!
ノモノモ!
しかし今日は暑いねえ。。。
お母さん、すごい方ですね!(笑。
先日は外野から失礼しました。
挫折、挫折!挫折!!の繰り返しからくる心底の徒労感は、当事者の方にしかわからないものなのに・・・。
ところで。
私が畑をお借りしている方は、マス単位で撒いてましたよ、種。鷲掴みで、成田山の豆まきみたいに!…お金もかかってたのかもしれないです。
大雑把に見えるけれどちゃんと撒くべきタイミングがあるんだ、と言っておられました。
するとその中から、その植物に適した場所に適した種が芽を出すんだ、って…。
そうしてできた『大根畑』や『シソ畑』には、次の年になるとまた、自然に同じものが育っているから不思議です。
福岡さんの畑の写真など時々本で見ると、あの平衡状態に達するまでの気の遠くなるようなTry&Errorを思ってくらくらします(笑。
福岡翁への道は遠いですねぇ・・・。
くるりさん、ありがとう。
いやいや、外野だなんて。お言葉ありがたかったです。
自分の心の弱さを見る事が出来て、いい勉強です。
それにしてもその方はすごいですね。そんな方がお近くにいたらさぞかし心強いでしょうね。やっぱりそこまでゴーカイに種まきしなきゃ、花咲か爺さんにはなれません。大自然の力に委ね切られた方なんですね。
いいお話を聞かせていただきました。何か心に響くものがありました。
ありがとう。
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