まいうう〜ぱぱさんのウチで、変なものを見つけていた。台所の出窓ではちきれそーに膨らんだペットボトル。。。
なんじゃこりゃ?
さわると爆発しそーなので見なかった事にしていたが、いつ爆発するかと気が気じゃなかった。ある日勇気を出して聞いてみる。
「それ。。なに。。。?」
「ああ、これ?これシソジュース。冷蔵庫に入れずにおいておいたら発酵してるんで毎日こーやって空気を抜いているんだよ。けど、夜になると、ほれ、このとおり」
「飲んでみる?」
「え〜〜〜、飲んだの?」
「いんにゃ。誰かに飲まそうと思って待ってた」
げ。つまり私は飛んで火にいる夏の虫ってやつかい。
「じゃあ一緒にせーの、で飲もう」と、ぱぱさんとおおママさんと三人で怪しい発酵液をお猪口に入れた。せーの、で一気に飲んだのは、さすが、腹の据わったおおママ。ぱぱさんはこのやろ、みんなの様子を見ているだけじゃねえか。私はちびちび飲んだ。
んで、なんとスパークリングなシソジュース!うめえじゃないの!
すげー、さすが自然の力。肥料も農薬も入っていない植物は腐る前に発酵するのだ。
発酵。。。?自然発酵?え?ひょっとしてパンのイースト菌って発酵したやつじゃなかったっけ。そーだ、レーズンを発酵させてもパン作るじゃん。
「そ、それちょっと分けてくれる?」と私。
「いーよ。なんぼでも」
というわけで、次の日にわけもわからず発酵シソジュースをいきなり小麦粉に投入。塩で発酵促すんだよな。と、うろ覚えのまま塩とちょっとの砂糖とレーズンを入れて焼いてみた。
何と、ちょこっとふくれて固めのパンのようなものが焼けちゃったじゃないの。ぱぱさん所にも持っていって「これいける!」
俄然やる気が出て来た。ある雑誌に載っていた記事を見つける。小麦粉はそれ自体が発酵能力を持っている。その力を借りてパンを作るのだ。
はるかメソポタミアの時代、小麦粉をこねて作っていただけの時代に、あるとき発酵という自然の力が働いた。そこからふっくらとしたパンがはじまった。
そう、小麦粉が発酵することからつくるパンはまさにパンそのものなのだ。
その記事は林弘子さんと言う方が書いた記事だった。さっそくアマゾンで検索。しかしすでに廃刊。古本を手に入れる。『秘伝 自然発酵種のパンづくり』と言うタイトル。
まず、発酵に必要な小麦粉は「生きている」小麦粉でなければならない。世に出回っている小麦粉は製粉する時に高温になるので死んでいるという。なので、低温で製粉したものでないと生きていないのだ。ウチには草ぼうぼう畑に出来上がった全く自然な小麦があるではないか。それを使わんでなにを使う!
おおママから借りた手動のコーヒーミルで、キコキコと製粉する。なんとまあ時間のかかる事よ。これもパン作りのためだ。忍耐忍耐。やっと挽いた全粒粉大さじ2杯と大さじ4杯の水を混ぜる。そのまま室温に放置。それを3日続ける。そこまでは生きた小麦を使う。そこから冷蔵庫の野菜室に移し、国内産の小麦粉を継ぎ足し継ぎ足ししながら発酵菌にえさをやり続けるのだ。
さて、ぷすぷすと泡が立ち初めて明らかに発酵を始めている。酸っぱい匂いから麹のような匂いに変化して来る。2、3週間たつ。そろそろ一度味見してみることにしよう。
パン種に少々小麦粉をくわえ、塩を少々加えてフライパンで焼いてみた。どきどき。心なしか膨らんでいる。ぐふふ。いけそー。。。でもまずは味見。
ぱくっ!と口に入れる。
すっぱい!我慢してそしゃくする。口の中にいろんな味が広がり始める。そのうち苦みまで出てきた。酸っぱくって苦い。その他いろんな複雑怪奇な味がする。しかも、なぜかのどを通らない。身体が拒絶している。これはけっこうヤバいかも!
と、いうことで、一回目のパン種作り失敗でした〜。なんでだろー。こりゃおもったよりてごわいかも。
しばらく更新していなかった林弘子さんのブログが更新されていた。娘さんからのものだった。今月25日にお亡くなりになっていたのだ。メールで個人的にパン種の作り方を聞いてみたが返事がなかったはずだった。。
彼女は食物に関するありとあらゆる事に研究に研究を重ねた実験精神旺盛なお人だったようだ。文章にそのアクティブさが溢れていた。この偉大な発酵種を開発してくれた林さんに感謝し、ご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。
さあて、またキコキコとコーヒーミルで小麦を挽き始めますか。
2 件のコメント:
今月25日?って数日前ってことですか・・。なんか、虫の知らせでしょうかね・・。
こないだのラーメン屋さんと同じかな。
そーなのよねえ。。
最近なーんかシンクロする事が多くね?
思わず涙が出ちゃった。
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