2009年7月8日水曜日

心のメタボ




枝豆がまたやられていた。もう全滅...?
思わずお山に向かっておさるさんに懇願する私。
「私たちの分は残しておいて〜」

食われちゃったものはしょうがない。かえってはこない。とにかく状況は受け入れるとして、でも心がまだ動揺している。じつは私の心は、これから出てくる新たな枝豆のことを心配しているのだ。
心配とは、過去に起こったことを思い起こして未来に同じことが起こるのではないかと心をふるわせること。しかし今のこ瞬間に猿もいないし、未来のことは誰にも予測できない。人はまだ起こってもいないことを予測して不安がる。それが確実に起こるとは誰もわからないのに。
過去と未来はいつもくっついている。過去を思い出して未来を不安がる。でも畑に立った私の今この瞬間に猿はいない。今枝豆も食べられてもいない。静かな時間が流れて、お山は美しい。

ところが今の私の心はそんなことはどうでもよくなっている。お山が美しかろうが、キュウリがたわわに実っていようがそんなことはどーでもいい。新たに育ってくる枝豆をまた取られるんじゃないかとそればかりを心配している。そのうち心配の種はどんどん広がって、とうもろこしもやられる?とか、カボチャも食われる?とかありとあらゆることが不安の材料になりはじめる。そうすると、畑やっていて何が楽しい?どっちみち猿に食われちゃうんだよ!となって、畑やるのがいやんなっちゃうところまで心は暴走し、どんどん肥大化する!

そう、心は暴走するのだ。肥大化するのだ。ほっておいたら、心は勝手にメタボになるのだ。物質はそれ自体あまり変化をしないが、心というものはどんどん変化する。しかも外から誰にも見えないから、誰にも止められない。止めるのは自分か、外から突然やって来た出来事(電話が鳴るとか、お客さんが突然来るとか)で忘れるかだ。
心はどんどん変化しつつ、それはどっちかっちゅうと悪い方向へ向かう傾向がある。

人は楽しいことがあったとき、
「ああ、今日はたのしかった〜。そういえば、あのときもたのしかったし、このときもたのしかった。ああ、人生ってなんてたのし〜」なんていう楽しさの肥大化よりも、
「ああ、あのときつらかった。ああ、そういえば、このときもつらかった。ああ、そういえば、あのときこんなにくるしかった、そんでそのときも、こんなにきつかった!ああ、人生って、なんてつらいんだー!」と、ならない?

じつはネガティブな思いの方がメタボしやすいのだ。しかも人はあまりそのことに意識がない。心は勝手にそうなるもんだと思っている。でもその心のメタボは、あまりいい結果を生まない。肥大化すればするほど、とどのつまり世の中を恨んでみたり、会社の仲間を疑ってみたり、猿を恨んでみたり、はたまた自分の人生を呪ってみたり。


「心の時代」といわれてひさしい。でもその心を大事にするあまり、心を野放しにする傾向があるように見える。幼い子供を好きなようにさせると、好き勝手生きるように、心も野放しにすると勝手に暴走する。しかもあっという間にトンでもないところにまで行く。被害妄想にまでなる。何気ない出来事が、その人の子供の頃に経験した事件を思い起こさせ、暴走しはじめる。外からは誰にも見えない。表向けはフツーによそえる。だから歯止めも利かない。心の中はメタボから巨漢になっていく!

今、わけのわからない事件が多い。おばあさんがおじいさんを殺してみたり、おじいさんが孫を殺してみたり。きっとなんてことのない事から心は動き始めるのだ。それは過去と結びつけて考え、不安を呼び起こし、アリンコが恐竜のような存在にみえはじめてしまうのだ。

自分の心はコントロールした方がいい。行きたいように野放しにせず、自分で自分のしつけをした方がいい。
最近、とみにそう思う。心は肥大化しやすい。そしてそれは伝染する。肉体のメタボと違って、それはまわりの空気まで変えてしまう。環境や他の人にまで影響を与える。心とはそのくらい強い影響力を持つ。『自己嫌悪菌』を自分で発見して以来、心は自身にすごい影響力をおよぼすことを直に感じている私。

猿のことを心配するのは、かえって猿を呼んでしまうのかもしれない。案の定、毎日やってきて、枝豆はどんどんなくなっていく。
もっとシンプルに心のダイエットをしたほうがいいようだ。

絵:「ナイスバディな黒人のおばさま」

4 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

おサル・・・困ったねぇ。
どうにかならないものか・・・。
おいらも枝豆食べたいでごザルよ。

人間のほうは・・・数が多すぎるのか、
育ちに問題があったのか・・。
ひどい事件が多すぎだわな・・はぁぁぁ。

つくし さんのコメント...

週末まで枝豆が残ってくれているかどうか...。
神のみぞ知る。
お山に今何もないんかねえ?

ところで、まいううーぱぱさんとこはしつけが厳しいうちだったの?

まいうぅーパパ さんのコメント...

うちは極めて普通のうちだったかと。
昔は他人と比べるような余裕も無かったし、よく覚えていないけれど、とにかく人様に笑われず、人様にご迷惑をかけない生き方。ってゆうのが染み付いてます。

つくし さんのコメント...

日本のよき姿のおうちだったのねえ。