2008年12月7日日曜日
偉大な畑
例によって土日は畑。
痛めた肩をかばうのも忘れてクワをふるう。またやらかしてしまいそうだ...。
ユンボで竹の根っこと、葛の根っこを掘り出す。それをすかさず横からクワでかきあげる。ユンボの扱いがまるで自分の手のように動かせる棟梁の操縦のよこでやっていると、ひっくりかえす、かきだす、ひっくりかえす、かきだすのテンポがものすごく速い。根っこの深い葛は途中で切らないといけないので、かまとクワとをとっかえひっかえで、もう動きがしっちゃかめっちゃかになってくる。
さすがに疲れた。
こんなことを昔の人は全部手でやっていたかと思うと、頭が下がる。
作業の途中でふとお墓に目が行く。ぐちゃぐちゃに倒れていたお墓はみんなで立て直した。10個近い古いお墓がずらっと並んでこっちを見ている。ちょっとした時代劇に出てきそうな雰囲気だ。
ここの畑にはまったくがれきがない。どんなに深く掘っても石が出てこない。どこまで行っても、ほくほくとした真っ黒い土だ。昔の人が、徹底的にがれきをこして、とりのぞいてきたようだ。ここはこの墓の持ち主か子孫たちが大事に作って来た畑だったのかもしれない。
軟弱な私たちの作業を見て、笑っているような気さえする。
民俗学者の宮本常一さんが言っていた。日本の山は、どんな所へ分け入っても、人の手が入っていない所はない。
昔の人々の名も知れぬ偉大な歴史を、畑を耕すという行為を通して今、教えてもらっている気がする。
いつのまにかお墓の前に、水仙が可憐な花をたくさんつけていた。
絵:『T&R』イラスト
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