2025年10月25日土曜日

絵は心のお餅

エイミーさんからのプレゼント


10日間の展覧会が終わった。怒濤の10日間だった。


会期中、あまりお天気もよろしくなく、

そんな中、忙しい合間を縫ってたくさんの方々にお越しいただきました。

皆様、本当にありがとうございました!



絵を買ってくださったお二方

素敵な笑顔に癒されます





期間中、愛で満ち満ちていたその日々は私へのギフトだった。


今年作った絵本のような作品集「TSUKUSHI’S WORLD~絵画の中の物語~」も

たくさんお買い求めいただき、

そして30年ぶりに表に出した3冊の私の絵本

「ロードムービー」「センチメンタルジャーニー」「鈴木さんの場合」も

思いの外好評で、特に「鈴木さんの場合」が売れていくのにはびっくりしました。

あんなにぶっ飛んだ話なのに。。。

時代は私に追いついてきたんだな。。。(こらあーっ!)


そして原画の方も、何点かお買い求めいただき、感謝に絶えません。


お買いになってくださったお二人が偶然その場で居合わせ、

私がその場にいないにも関わらず、

二人で私の絵の素晴らしさを語り合ってくださっているのを垣間見た時は、

一体何が起こっているのだろうと胸がいっぱいになっていました。


そのお二人が後日それぞれに私に話してくださったのは、

絵を見ることで、心がどんなに幸せと喜びで満ちていくのかを

直に体験されていたことだった。

「芸術の力を知りました」と。


それは私がふと目にした何気ない草花たちの佇まいに

「わあっ!」と心が開き喜んだ幸せが、そのまま絵に定着され、

その喜びが、それを見る人の心の中にまで入っていくという

奇跡を見せてくれていたのでした。

そしてその幸せは水の波紋のように拡張していく。


「すごい。。。」


芸術ってこういうことなのか。。。

なんてすごいことをやっているんだ。。。


そう思わせてくれたのには理由があった。


それはイラストレーターになりたての頃、

ある有名なアートディレクターに言われた言葉から始まる。


「絵はしょせん絵に描いた餅だからさ。

本物の餅にはなれないのさ。

僕らを満たしてくれはしない」


ショックだった。

絵ってしょせんなものなのか。。。と。


そう思って、どこか絵を描く自分をずっと卑下していた私に、

「絵は心の餅」だったのだと気づかせてくれた。


それこそが私たちにとって重要なことだったのだと、

40年後にはっきりと気づかせてくれた。


なぜなら私たちは「心」だからだ。


このメッセージをもらったことはギフトだった。





かっこいいエイミーさんとあぶさん

上の写真と共にいただいた写真をお借りしました。

そしてズームや動画、ブログでしか知らなかった人たちに、生で出会えた。


初日、エイミーさんご夫婦が、車で3時間以上もかけて

いきなりサプライズでやってきた!

そんなもん、聞いてないがな~。


やっぱカッコいいわ。うん。

動画で見てたより小柄で、でもすごいパワフルで、周りをぱあっと明るくする人。

旦那さんのあぶさんもこれまたカッコいい!

どこの芸能人二人が来たんかとおもた(笑)

あぶさんご提案の独創的なフラワーアレンジメントもイカす。

柿の実がついてる枝のアレンジなんて初めて見た。

会期中、元気な姿を保ってくれました。


あの実、食べられるんかな?渋かな?

だったら熟してしまうまで放っておいて食ってみよっと。




香港さんと私だぜえ〜!

奇跡パパと香港さん



そして後半、ついに来ました香港さん!

還暦オヤジが、夜行バスで大阪から早朝の高尾にやってきてくれました。

え?朝の5時?どーするんやろ?とおもてたけど、

ちゃんと段取り組んで高尾山頂上まで行ってくるという元気っぷり。

(ケーブル降りてからの歩きの長さは計算外だったようだがw)


そしてこれまたブログで密かに覗かせてもらってた、

香港さんのお知り合いの奇跡パパが、カッコイイバイクでやってきてくれた。


さてその後三人はあやしい場末の飲み屋にしけこんで、

怒涛の濃い濃いコースの話の嵐。がっつり話し込んでしまいましたとさ。


香港さんはのちのブログで、

私と過去どこかで会ったことがあると言っておられましたが、

私にとっては、それが当たり前すぎて、気にもとめてなかったという傲慢な奴。

一方的ブログ読者、あるあるですな。ごめーん。



コース仲間たち。それぞれを別々に知ってたけど、みんな繋がってた!

そのほか、ほぼ毎日のようにコース関連の人たちがたくさんきてくれて、

コースの話をしない日はなかった。



と、急ぎ足でこの怒濤の10日間を書いてみました。

書ききれないことばかりです。


今回不思議なこといっぱいあったけど、最後の最後に高知組が偶然集まった!



あらためて御礼申し上げます。

展覧会に来て下さった皆々様、誠にありがとうございました!









和紙で制作した作品のオンラインショップができました

ペーパーバックの表紙を制作した原画のオンラインショップです



2025年10月10日金曜日

展覧会は今日から始まります。



今日から10日間、私の展覧会が始まります。

昨日展示も無事終わり、

あとは楽しい時間を過ごすだけになりました。


今回で3度目になるこの会場での展覧会。

この独特の空間での絵の展示は、

ギャラリーのようなホワイトキューブではないことで、

いろんなことを教えてくれました。


昨日写真家の海沼武史が各部屋ごとの展示を決めて行ったのですが、

夜こんなことを言っていました。


あの部屋たちは三次元の器だ。

その器にどんな気が流れているか、

そこにどんな絵を盛りつければ気持ちのいい気の流れになるのか。それが決め手だと。


床の間あり、出窓あり、三畳の小さな部屋があり、玄関があり、廊下があり。。。

それぞれの空間に、どんな日が差し込むのか、どんな風の通りがあるのか、

そして外の美しい緑の風景をバックに、絵はどう映えるのか。


あらゆるお膳立てがあり、

そこをどう料理する?この器にどう料理を盛り付ける?

そんな風にも見えてきます。

私の絵はさながら、器に盛り付けられる料理です。


渋い演出から、モノトーンの空間から、華やかな空間まで、

いろんな盛り付けがなされています。


さて、みなさまの目には、そして感覚にはどう映るのでしょうか。

どんな味がするのでしょうか。


みなさまの反応を楽しみにしております。



つくし作品展:

2025年10月10日(金)〜20日(月)


高尾駒木野庭園

東京都八王子市裏高尾町268−1

tel: 042-663-3611

開館時間:9時〜16時30分

無休 入場無料

JR中央線・京王高尾線「高尾駅」より徒歩15分

京王高尾線「高尾山口駅」より徒歩15分

バス:JR高尾駅北口発 京王バス「小仏」行き「病院前」下車すぐ





和紙で制作した作品のオンラインショップができました

ペーパーバックの表紙を制作した原画のオンラインショップです

2025年10月6日月曜日

森の音、光、心

「けものみち」和紙、水彩

 

今の季節、コオロギの大合唱だ。


テレビを見なくなって何年たつだろう。コンセントさえ入れていない。


テレビは大きな地震があった時「どれ?どこだ?」と言って震源地を確認するためだけにある。しかし昨日スマホのウェザーニュースのなかに動画配信があって、テレビよりも速く情報が見れるということを教えてもらい、テレビはさらに青い布がかけてある単なる黒い板になった。



この家は目の前に川と山が迫っている。だから自然の音がダイレクトに聞こえる。

鹿の鳴き声、イノシシのため息、山栗を食らう硬い音、川を走り回る彼ら。

そして季節ごとの虫や生きものたちの声。


コオロギの大合唱は11月半ばまで続き、ある日ピタッととまる。

その日から静かな冬がやってくる。

年が明けてまだ薄ら寒い3月のある日、川から涼しげな声が聞こえる。カジカが春を迎えるために歌い始めるのだ。一匹、二匹と少しずつ増え、やがて大合唱になる。清流にしか住まないというカジカの声は貴重だ。

それが夏まで続き、少しだけ静かな時期を通り抜け、そして秋の声たちがやってくる。

気がつけばその声たちを20年聴いていた。



ふと思う。

この振動を毎日毎晩聴き続けているわけで、それは私に何かしらの影響を与えているんではないか。

テレビの騒々しい音を消した後の静寂が迫ってくるあの感覚。恐ろしい闇が迫ってくるような一瞬の真空状態ののち、聞こえてくる透明な鈴虫の声。


それはずっと昔から、私たちの祖先が聴いてきた音。

江戸時代も、戦国時代も、万葉の時代も、そこにあった。


その振動が身近ではなくなったのは、ほんの100年前ぐらいなのではないか。

その間に私たちの感覚は人間が作り出す音の中に取り込まれていった。



夜中、苦しくて目をさますと、私は窓を開ける。

とたんに虫の声と山の霊気が私の中に入ってきて心を落ち着かせる。

窓を閉めると人間の世界に入る。開けると違うものが入ってくる。


先日、グチャグチャと考え事をしながら森に入った。

すると森の圧倒的な静寂に包まれて、それまであった心のグチャグチャが消えていた。森の生き物たちの心の静けさに気づかされた。


だから窓を開けたがっていたんだ。森の声を聞きたがっていたんだ。全てを受け入れてくれることを私は知っていたのだ。




先日展覧会を終えた写真家の海沼武史と私はここで21年間住んでいる。

二人が紡ぎ出す作品はどこか似ている。それは当たり前かもしれない。

日々この目の前に広がるトーンの中で同じ音、同じ振動、同じ光、同じ森の心を見ているのだから。



この場所だからこそ、それは私に浸透し、私の手を通して、現れてくれる。



10日から始まる展覧会にぜひお越しください。


私が聴いて見て感じ取ったその世界を、目撃しに来てください。






和紙で制作した作品のオンラインショップができました

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