2024年1月31日水曜日

教えておくれ

 


あなたのその考えは違う。


そう思って私は相手にアイディアを提示した。

もう少しこう考えたらどうだろうと。

だが相手は一向に考えを変えない。


そのうち自分が相手を説得しようとしていることに気がつく。

人を変えることはできない。




そこに分離があった。

あなたと私は考えが違うという前提で、

相手を自分と同じ考えにさせようとしていた。


原因は私にあった。

分離させておいて、融合しようとする試み。




目の前に、みかんとティッシュとプラスティックのゴミがあった。


私はこれらを一つに融合させようとしていたのだ。


この世界の中で融合は不可能。

この三つを一つにするには、燃やすことぐらいしかできない。


しかしこのみかんの中に愛がある。ティッシュとプラスティックの中に愛がある。

その愛だけを見れば、自ずとそれは同じだから一つだ。



この世界で相手を見れば、違いを見る。

あなたはこう考えた。私はこう考える。


ほんのわずかな違いでいい争ううちに、

次第に違いが大きくなって巨大な壁ができる。


みかんも、ティッシュも、プラスティックも、私も、あなたも、みんな被り物だ。

その中身はすべて愛でできている。


この世界の肉眼で違いを見ている限り、心が休まる時はない。


この世界という雲の中から飛び出して、

青空の下で出会えば、

すべては一つだった。





絵:「教えておくれ」




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