2013年10月10日木曜日

何で肥料入れねえんだよ!



近所の畑やっているオヤジさんにのらぼうの種をあげた。

オヤジさんはそこらのボス的な存在。ここら辺はぶっきらぼうで口の悪いオヤジがいっぱいいるが、その中でもひときわな存在。

「オイ、のらぼうの種あるんか?おれんところの種はよお、一昨年のヤツで、こないだ蒔いたんだけどちっとも芽が出ねえんだ。おまえんところにあるんなら、くれよ」
「あるけど。。。」

やまんばの心の中でちらっとうかぶ。
今年とったのらぼうの種は、蒔いてもいないのに畑の外に勝手に出てきたホントに野良なヤツ。巨大になってそこらを凌駕してたから、その種を取ってみたのだ。
だけど内心ビクビクしてた。

「あの、、、ホントにこれ、のらぼうかどうか分んないよ。。。ちがってたらごめん。。」
「あん?おめえ、ちがってたらしょうちしねえぞ!」
ひっ、ひえ~~~~~っ!

後日、勇気をフリシボって聞いてみる。
「のらぼう、芽でましたあ?」
「ええ?おお、でたよ、でた。」
「のらぼうだったあ?」
「おう、ありゃあ、そうだろう」
ほーっ。

数日たって、彼が別の人にもらったというのらぼう系の別の苗をくれた。
それから自分の畑に呼んで、その苗とやまんばがあげたのらぼうの苗を見せてくれた。
他からもらったというのらぼうの若苗は虫に食われていた。
ウチの野良はやはり勝手に出ただけあって、まったく虫に食われてなかった。
だけどこの種を「勝手に外に出たヤツです」とは口が裂けてもいえねえ〜。

「おい。おめえんところは、肥料も農薬もホントにやってねえのかよ」
「うん。」
「ここいらじゃあ、肥料あげずには育たねえはずなんだが。。。」
ひとり言のようにいう。
「いやいや、じぇんじぇんそだってないっすよー」
がはは~とわらうやまんば。

「で?何で肥料あげねえんだ」
「え?いや、その、あの、。。」
と、バタバタとその場をとりつくろうかのように色々いいわけする私。

「。。。。だ、か、ら、よお!何で肥料入れねえんだって聞いてんだよ!」
ひっ、ひえ~っ。ごまかしてんのバレた。

「わかりました。ショージキにいいます。」
やまんばはその理由をぜーんぶしゃべった。
ブルーベビー症候群の話や、腐る野菜と枯れる野菜の話、肥料に虫がよってくる話、それに農家が出した大量のチッ素が川に入り海にまで流れて生態系を変えている話。。。

おじさんは怒りもしないで、だまーって聞いてくれた。。。。
 
「じゃあよお。おめえ、化学肥料や農薬がいっぱい入ったスーパーの野菜なんかはどうなんでい。食わねえのか?」
「いえ。食います食います。気にしません。畑にないものはそこらのスーパーでフツーに買います」
「そこらへんはおおらかなんだな」
「私はただ実験したいんです。知りたいんです。自然の世界がそのままでこんなに豊かなこと。そこに人間が長いあいだに作りあげてきた野菜という植物にも同じように応用できるかどうかを」

おじさんは、ウチの交配種(つまり白菜とミズナが交配したわけのわからんヤツ)が巨大になっていたことを喜んで聞いていた。
「つまりそれはひょっとしたら交配に交配を重ねると、原種に戻るんかな。それはすごいことじゃないか」

ぶっきらぼうで口の悪いオヤジが、こんなにも柔らかい視点をもっていることにおどろいた。そういえば、彼は畑で作業をしている姿より、眺めて歩いている時間がほとんどだ。

別れ際、
「おう、また聞かせてくれよ」
と笑った。


4 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2013年10月10日 10:23

    おお!よかったねぇ!!また信者が一人増えたねぇ!!

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  2. そーなの。ほっとしたのだあ。

    でも信者じゃないよお。
    オヤジさんはオヤジさんの道をいくのだ。

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  3. おう、また続き聞かせてくれよ~^^

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  4. ヒッエ〜こえ〜、島村さんようこそ〜。
    わっかりましたあ〜、後日談ありましたら報告いたしますっ。

    あ、こないだのエダマメ、おいしかったです!
    ごちそうさまです。

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