2012年8月11日土曜日
背中をはうもの
畑で草刈りをしていると、背中を誰かが触った。
後ろを振り返ると誰もいない。
なんだ、気のせいか。と思ってまた草刈りを始める。
するとまた背中に何かが触る。
切り倒したヒメジオンの茎でも背中に触っているのかと振り返る。しかしそれらしいものはない。
おかしいなあ。。と思いながら、また草刈りを始めようとするそのとき、背中を何かが這っているのに気がついた。。。!
ゆっくりと、何本かの足で私の背中をはいあがっていく。もう少しで首の所にまで来ようとしていた。
!!!
何本かの足。そいつが一歩歩くごとにぴりぴりする刺激。。やまんばの頭の中に、あのときのムカデのイメージが浮かび上がった。
ある日野良仕事しようと小屋においてあった手袋に手を入れた。左手の中指に妙な違和感があった。
はて?この違和感はなんだ?
と左手を持ち上げてみる。赤い手袋の真ん中の指のてっぺんに穴が開いていた。そこからオレンジ色のちっちゃなひげが二本左右にいそがしげに動いている。
なんだろうこれ?
じーっとみていると、その下から、真っ赤な足がニョキッと出た。
ムッッムカデだああああ〜〜〜〜っ!
必死で手袋を脱いだそのあとから、ぴょんっと、でっかいムカデが躍り出た。
幸いかまれはしなかったが、あのときのショックったらなかった。何度も左手の中指を確認したほどだ。
そして今、そいつは私の背中を這っている。。。!
あわてて立ち上がる。やつは、私のTシャツと木綿のベストの間を這っているようだった。頭をできるだけ下に下げて振り払おうとする。しっかりしがみついたまま、はなれない。首に巻いたタオルを投げ捨て、べストを脱ごうとする。いや、ここで下手に刺激したら、かまれるかもしれない。ひえ〜〜〜っどーすりゃいーのよーと一人もがく。だがそいつはもう私の首まで達していた。意を決してやまんんばはそいつを素手でむんずと掴んだ。
掴んだ瞬間、でかいのがわかった。だが長くなくて、そいつはまるっこかった。
掴んだ手をゆっくりひらいた。
手の中には、でっかいメスのカブトムシがいた。。。。
あわてんぼのやまんばのせいで、カブトムシはケガする事もなく、無事だった。
そのまま自然の中に返した。
自分の姿を思い出し、顔が赤くなる。
びっくりさせてごめんよ。
絵:スマホケースデザイン「大天狗の孫/玉露」
『大天狗の孫』
初代大天狗は、高尾山が隆起して山になったときから住む山の精。
その孫玉露は、草のつゆから現れてきた。年齢不詳。
気分屋なので、いわゆる天狗の修行はしないが、その気になりゃ、かるく百変化する。
今は、何となく昆虫の姿になって、ふもとの村人たちの観察を続ける。
カラス天狗のだるとは、ちょっとやばい関係。
なんちゃってご利益:
形を持たない種族だが、強い意識を持って自由に生きる。
なんにでも変化できる、自由で強い心になれるかも~。
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