2012年2月14日火曜日

ホイットニーの死


ホイットニーヒューストンが亡くなった。
美声、歌唱力、美貌、何をとってもパーフェクトだった彼女。やまんばもずいぶん魅了されたもんだ。真っ白い歯を見せて左上の方向を見て歌うあの姿。未来は明るい、この世は美しい、そして人間の無限の美しさをおしえてくれた彼女だった。

それなのに、かなしい結末が待っていた。何が彼女にそんな死を与えたのか。

魅了されたわりには最近の彼女の動向を知らなかったやまんば。
記事を読むと、けっこうきつい現実を背負っていたようだ。薬物に溺れ、いろんなものに依存し、今まで稼いだお金はみんな使っちまった。最近は知り合いに100ドル借りるような生活だったよう。

最近の彼女のコンサートでは、高音が出ない、歌っている途中で呼吸困難になるなどファンにとっては「最悪のコンサート」だったそうな。

そんな時にグラミーショーで唄う。そこで彼女は何度もグラミーショーに輝いた。そこで、その場所で高音が出なくなった自分をさらけ出す。人々はどんな批判をするのだろう。私はどんな目で見られるのだろう。。。
あの頂点にいた彼女は、今の彼女をどんな思いで見ていたのか。そして今回の仕事は、彼女の心にどんなにプレシャーを与えただろう。私たちが想像する以上のものだったのではないか?グラミーショー出演者が泊まるホテルで奇行が目立っていたようだ。かなり泥酔していたという。

人は他人からの非難を恐れる。そして非難される自分をなじる。今の自分の姿を見るのはつらい。見ないでいられたらどんなにいいか。自分を忘れる事が出来るなら、どんな手だって使う。薬物、酒、セックス。。。これらは自分を忘れる事が出来るアイテムだ。だがそれも一時だけの事。醒めるとまた自分が襲ってくる。自分から逃れるためにまた手を出す。これが依存症と呼ばれるものだ。
だが、それは彼女だけのことなんだろうか。私たちだってみんな同じように自分から逃げている。
彼女の死は何かを語っているように思える。


やまんばは、ある日の午後、ある唄声にであった。
NY地下鉄57丁目駅の通路わきの壁に大きな身体をよせてその人はいた。彼女の姿はたとえるならスターウオーズに出てくるジャバそのものだった。
その巨体から発せられる声を聞いたとき、やまんばの身体全身が震えた。今までこんなに全身が震えた事はない。

彼女はホイットニーヒューストンの「Greatest Love Of All」をアカペラで熱唱していた。その声はもうホイットニーの比ではなかったのだ。ものすごい力強さ、圧倒的な歌唱力、そして地の底からわいて来るような強烈な波動。。。その瞬間、あたりの空間すべてが彼女モノだった。
やまんばはもう一度あいたいと何度もそこを通ったが、あれ以来一度もジャバにあう事はなかった。

アメリカにはプロとして表に出て来ない、下に厚い層があるのを知る。
どんなおもいで彼女はあそこで歌っていたのだろう。。。彼女の唄の中に彼女の思い、生き方、魂の質、美しさ、そして慈悲の心、そんなものが折り重なって声になって現れていた。やまんばに圧倒的な説得力をあたえた。
彼女はホイットニーのように高音が出なくなったりしても気にしないだろう。生活に苦しくなっても「いつもの事よ」と、あの黒人特有の楽天的な資質で笑っているのだろう。

人が不幸になるのは他人が作るものじゃないのだ。ただ自分がつくりあげるだけのことなのだ。それはただ自分で「作り続けている」だけなのだ。それはいつでも作るのを止められる。だれでも。今この瞬間に。

ああ、もう一度あのうた声を聞きたい。
でもジャバもまたもうこの世にいないのかもしれない。(ジャバじゃないっちゅーの)


絵:「マレーネ・デートリッヒ」

4 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2012年2月15日 0:40

    何があったんですかね・・・。
    でも、かのジャイケル・マクソン(失礼)だって、リチャードギアだって、ゲイリークーパー、マリリンモンローだって、(きっと私もちょびっとは・・)人に言えない裏面を持ってるわけで、そういうコントラストこそが、彼らの輝きなんでしょうね。例えば私の場合、コントラストが薄いから彼らほど輝いていない、ちうことですかね。
    まぁ美しい絵が描いてあるキャンバスの裏に、絵の具のシミくらいあってもいいじゃないですか・・・。それで、絵の価値は下がらないですよね。
    合掌

    返信削除
  2. 表で光る強さが大きければ大きいほど、影の部分はより濃く見えますよね。まさに!

    それを一番リアルに感じているのは、誰よりも本人自身なんでしょうね。それが彼らにより大きな苦痛をもたらす。
    ファンは、そのコントラストが強いほど、彼らの輝きがよりいっそう美しく見えるけど。

    マリリンモンローもマイケルジャクソンも、ファンはそのはかなさを楽しめるけど、みんなほんとのところは、スーパースターとしてではなく、超個人的な悩みとして、一人苦悩していたんだろうな。
    そういう意味では、私ら一般人と何ら変わりがなかったんじゃないかなと思ったのでした。

    返信削除
  3. まいうぅーぱぱ2012年2月16日 8:18

    自殺の可能盛大。って報道されてますね・・・。

    返信削除