2011年9月14日水曜日
妖怪の草刈り機
有機農法で成功を収めている妖怪が草刈り機を貸してくれた。はじめて使う機械にやまんばは圧倒される。早い。あれほど高く生えそびえた草たちをバッタバッタとなぎ倒していく。それもこの轟音と振動のおかげなのだろう。
しかし刈り終わったあと、手にぶるぶると振動が残る。手の皮膚と骨のあいだに無数のミミズがはいまくっているような、なんともきみょうな感覚。さすが妖怪が貸してくれた草刈り機だけの事はある。妖怪ぶるぶるまでおまけしてくれた。
小さく刈り取った草たちを畝にスキコする。手でやっていた時、刈る、草を小さく切る、という作業を、一気にやってくれる草刈り機。簡単にスキコできる。じつにありがたい。
しかしなんだか心が痛い。なんでだろう。
草たちの切り口が無惨なのだ。繊維を引きちぎられたような痛々しい姿が散乱している。たんに私の切り方がへたくそなのか。草たちの威厳も何もあったもんじゃない。
ちょうど同じ頃、高知のとーちゃんがハミキリを送ってくれた。むかしからある、草を小さく切る道具だ。草を束にして歯の上に乗せる。上からハンドルをおろして切る。それだけなのだが、面白いように切れる。しゅぱっときれいに繊維を断ち切ってくれる。切り口は美しい。草たちの威厳も保ってくれる。
この二つの草を刈る道具は、何かが明らかにちがう。草刈り機は作業が早い。効率を考えたらもっともいいだろう。だが破壊的なのだ。その破壊力は振動を感じる手にももたらす。白蝋病という病気もそういった振動をともなう機械によって起こされる。
一方クワで草を刈り、ハミキリで草を切る。これは能率効率悪い。しかしその作業は穏やかで、地面と自分を近くし、土と草の関係を確かめながら切る事ができる。ゆっくりした動きだから、草の中や下にいる虫たちの逃げる時間も与えられるし、私もかれらをよけながら切る事ができる。思わず鼻歌もでる。機械はスピードが速いために生き物たちの移動を遅れさせ、時には殺してしまう。鼻歌なんかでない。
クワは根元から切るため、草はきれいに集められる。ハミキリも入れやすい。何より破壊音のしないゆったりとした時間が、草たちの生まれて死んでいく過程を味わっているようなそんな感覚にさせてくれる。草刈り機は立ったままで草の死を眺め、ハミキリは座って地面に近いところで草の死を見届けるからなのかもしれない。
先日知り合ったおじさんがいっていた。
「草刈り機で刈った草は、あとから生えて来るのが早いんだ。なんでだろうね。草がコノヤロ〜って挑戦して来るんかね。でもクワで刈った草は、あとから生えるのが遅いんだ。おもしろいね」
彼の言葉は、何か深いところを話してくれているのかもしれない。
絵:COOPけんぽ9月号イラスト/コスモスと妖精
「草刈り機で刈った草は、あとから生えて来るのが早い、クワで刈った草は、あとから生えるのが遅い」
返信削除ほんと、おもしろいっすね。
いつも草を食い千切ってる、おやぢより。
今日ね、妖怪の畑に行って来たよ。まいた種、植えた苗が確実に育っていくワケを知ったよ。
返信削除でもやまんばは、やっぱり自然のあり方に添いたいな。
ええんじゃね?それで。
返信削除応援してますよ。んで、ビールのも!
ところで、見たこれ?
「独立系科学者ローレン・モレ博士の警告!:乳幼児が危ない!」
http://ameblo.jp/capitarup0123/entry-11018624480.html