2010年8月6日金曜日

大野イモ食われる




一瞬、眼を疑った。ない。そこにあるはずのものが、ない。(生理じゃないぜ)
やっぱり来たかー。そーきたかー。

「ここらの畑のイモはぜーんぶやられてるぞ。だもんだから、おれんところは電流よ」と、近所の畑のおじさんが自慢してくれた。見ると畑の一角だけが電流線でウヤウヤシく囲われていた。

んで、ついにうちもやられちまったわけだ。ウチだけなぜかいつまでたってもやられないので、草にかくれて見えないかな?とどこかで鷹をククッっていた。あまかったー。見事に食われた。40本の里芋、ちっこいのんを2個だけ残して。ついでにトウモロコシも7割、スイカにいたっては100%!

フェンスの金網が無理矢理こじあけられている。ここから入ったとすれば、どこから出たのだ?あった。南東の角のフェンスがもの凄い力で押されてひん曲がっていた。入ったところはやわな金網。出たところはと相当分厚い鉄のフェンスだった。すごい力だ。イモ食ってがぜん力が湧いたのか?

里芋は大野イモといって結構高級なお芋さんだった。
「これ、高かったんだぜえ〜。さぞかしうまかっただろうなあ」
散らばったイモの葉を集めながらつぶやく。なんだろう。心は動揺していない。むしろどこかがはしゃいでいる自分がいる。これは気が狂ったのか?あきらめの境地か?それとも開き直って自分をあざ笑っているのか?

実は前の晩、一瞬このシーンを見た。夜、頭に畑に散らばっている里芋の葉を見たのだ。動揺した。まさか。いや。そんなはずはない。気のせいだ。ないない。心で動揺を静めようとしていた。そして次の日畑でそれを確認する。じっさいはもっとすごかった(笑)。
やっぱりそれだったか。どこかで覚悟していたからあまり動揺していないのかもしれない。


ピーマンの枝という枝にカメムシがビッチリと食らいついていた。どうやらピーマンの水分を吸っているらしい。あれよあれよという間にピーマンの苗がひからびていく。その虫はナスにもつき始めていた。私はしかたなく、ピーマンの苗を全部根元から切ってフェンスの向こう側に捨てた。そのときふと、こんな風に拒絶していいのだろうか?という思いが頭をよぎった。自然は不必要なものなどなにもない。すべては必然。そこに虫がいるのは、その土地や植物を浄化してくれている。そういう前提で草も虫も敵にしないのではなかったか。
そう頭では分っていても、じっさい虫がもの凄い量いると、他に移るんではないか、もっとひどくなるのではないかといらぬ心配をし始めるのだ。

ピーマンを切って捨てたのが、おとつい。その夜にイノシシはやって来てイモ、トウモロコシ、スイカを食っていった。あまりにタイムリーではないか。何もその捨てた夜に来なくてもいいではないか。これは何かを言おうとしているのだろうか。自然に不必要なものはない、と。カメムシが食うのはちゃんと意味がある。大事なお仕事をしているのだと。だとしたら、イノちゃんに食われたのは、その代償や仕返しではなく、カメムシをとった私のした事が、畑のバランスをくずしてしまって、イノちゃんが入ったと?

む。。。むずかしい。
この現象をどう解釈すればいいのだ?単なる出来事、偶然の一致ですますのは楽でいいんだけど、その背後にある大きな英知を感じずにはいられない。

それにイモを食われてどこかで「うまかったかい?」とイノちゃんが食べているシーンを思い浮かべてほくそ笑んでいる私がいる。なんでだ?これはまるで、自分でパンを作って人にあげて喜んでいるのとおんなじ感覚だ。
やまんばはついに気が狂ったか。


絵:コージーミステリー表紙(めずらしく水彩)

2 件のコメント:

  1. まいうぅーぱぱ2010年8月6日 8:34

    ありゃぁ。やられましたか・・・。
    出るときは更に必死なので、力が出るんでしょうな・・。
    さて、金網どうしますかね。
    これからは、いのしし定期便かもかも??

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  2. すいませんねえ。
    とりあえず、一枚あったのでそれで応急処置しときました。なんにしてもこりゃ、やわい網じゃダメですね。やっぱし頑丈なのを買わないとダメでしょうね。

    でもイモはもうないので、そんなには来ないでしょう(苦笑)。

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